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2015年10月15日更新

[彩職賢美]大宜味村学校給食センターに勤務の北城睦美さん|学校栄養士として食教育進める

「沖縄の長寿を支えてきた伝統食や行事食が、家庭でも食べられなくなっている。だからこそ今、その大切さや味を学校給食で伝えていかなければ」。北城睦美さん(61)は学校栄養士として40年以上働き、子どもたちに日々届ける給食へ健康を願う思いを込めてきた。「若い栄養士も沖縄の伝統の味を知らない。私ができることは伝えること」と凛とした表情で語る。


 

伝統の味伝え 信念貫く給食道

大宜味村学校給食センターに勤務
北城 睦美さん

作り続ける大切さを実感

ニックネームは「豆先生」だという。その由来は、20年ほど前、名護市内の小学校に勤務していたころに付いたものだ。子どもの豆の摂取量が少ないということで、学校給食で豆を使った料理を作るよう文部省(現在の文部科学省)が指導したことに始まる。

さっそく豆を使ったメニューを出すと、驚くほどの残量。「体にいい食品だと分かるから、臆することなく作り続けた」。その結果、保護者から残量を問題視する声が上がり、試食の機会を設けた。すると、「家で作っていないから給食でも食べない。そのことに保護者が気付いてくれた」。落花生を使った伝統食のジーマミー豆腐も最初は不人気。「繰り返し食べさせていくと、食べてくれるようになる」と強い信念を持ち、3年かけて完食を達成した。

そのころから、北部地区の学校栄養士が集まり、沖縄の行事食を見直しながら給食に取り入れる勉強会を開催。北城さんは中心メンバーとなり、「長寿でいられるのはお年寄り。若い人の食生活では長寿が危うい。子どもが健康に育つために、何がいいのか」と考え、長寿の源は伝統的な沖縄料理、行事料理だということにたどり着いた。

そこで見たのは地産地消の原点。「お年寄りの食事は決してぜいたくではなく、季節に採れた地元の食材を食べている」。何とかそれを給食に取り入れようと考えた北城さん。ジーマミー豆腐、ミヌダルもそのひとつだった。今では旧暦の行事に合わせた献立を考える。これからの季節、カジマヤーには中身汁、クーブイリチー、冬至はトゥンジージューシーなどがある。



大詰めを迎えた来年のカレンダーの作成作業。北城さん(写真右)はメンバーの一人として、若い栄養士たちをサポートする


現在、1日332食を作る。「これぐらいの規模だと手作りの味を届けることができる。丹精込めて作った食事を食べさせるのは、子どもたちのより良い未来を作るため」。食器にもこだわり、強化磁器を使う。「これに慣れているから磁器の良さを知らない子が多い。でも将来、少しでも思い出してくれる子がいれば」。食や食器など、すべてが未来へとつながる。

学校栄養士として情熱を傾ける北城さんだが、一度、辞めようと思ったことがある。大好きな両親の介護をしていた時だ。10年ほどの介護の期間は、デイサービスや病院などを利用しながら仕事と両立。「両親とも私の仕事を理解してくれた。特に母は私に甘えることなく、仕事を頑張ることが親孝行かと思った」。しかし、3年前、両親が相次いで死去。「介護休暇を取って、もっと側にいれば良かった」と後悔の念も。

そこで振り返ると、伝統食の大切さを身に付けたのは、母・ヨシさんの影響が大きかったことに気付いた。ヨシさんは教師として働きながら、教育行政に携わっていた父・徹さんと、行事ごとに料理を作っていた。両親に背中を押されるように、再雇用の道を選んだのは、沖縄の伝統食や行事食の大切さを若い栄養士に伝えるため。「自分が分かることは全て伝えたい」。信念を貫く食教育の道「給食道」をただまっすぐに歩む。


 

北城さんのハッピーの種

Q.思い出の給食と、自分の献立で好きなメニューは?

私が実際に給食を食べたのは小学4年生から6年生まで。ケチャップ味のポークビーンズとパンだけは覚えています。自分の献立では、やっぱり沖縄料理全部が大好き。中身汁やイナムドゥチ、クーブイリチー、ミヌダルなど。タイ旅行で食べたトムヤムクンも出していますが、おいしいですよ。
 

Q.学校栄養士会の活動で今は何をしているのですか?

昨年、沖縄の行事食をテーマにした2015年版のカレンダーを作成しました。学校や各地の給食センターに配布しましたが、それが好評だったので、来年向けのカレンダーを一般向けにも販売しようと考えています。食だけでなく、沖縄に伝わる食にまつわる道具の紹介もしているので、多くの皆さんに使ってもらいたいですね。

◆カレンダーの販売は11月を予定しており、予約も受付中。価格は1000円(税込み、予定額)。問い合わせ・予約は、近くの学校給食センター内の学校栄養士まで。



PROFILE
北城睦美(きたしろ・むつみ)1954年名護市生まれ。名護高校卒業後、千葉の大学で食物栄養について学び、栄養士の資格を取得。75年に帰沖し、国頭村立国頭中学校を皮切りに東村、宜野座村、名護市など北部地区で学校栄養士として勤務する。ことし3月、定年を迎えた後、再雇用され、大宜味村学校給食センターで働く。




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撮影/比嘉秀明・編集/高江洲千里
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1189>
第1474号 2015年10月15日掲載

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この記事のキュレーター

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ちぃちゃん

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元企画・編集プランナー
身の回りの「はてな?」や「なるほど!」を追い求めながら、好奇心のアンテナを張り巡らせて日々、取材中。何でもやるからには「徹底的」に。そのための息抜きも大切に。メリハリのある暮らしと、メリハリのある仕事のこなし方ができるよう心がけています。

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