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2015年11月12日更新

[彩職賢美]瑞泉酒造株式会社 代表取締役会長 佐久本佐枝子さん|泡盛の魅力を国内外に伝える

創業128年の歴史を持つ瑞泉酒造。佐久本佐枝子代表取締役会長(72)は、日本航空客室乗務員時代の経験を生かし、社員らに立ち居振る舞いや接客を指導。自らも現場に立ち外国人観光客へ英語で対応する。ほかにも海外への販路開拓や国内外の工芸品とコラボした商品開発、飲用から家事まで幅広い活用法を提案するなど視野を広げ柔軟に取り組む。

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泡盛の楽しみ方 女性目線で提案

瑞泉酒造株式会社 代表取締役会長
佐久本 佐枝子さん


客室乗務員のスキル社員に

佐久本さんは大学卒業後、得意の英語を生かし、日本航空に入社。客室乗務員として国内線・国際線の両方を担当した。「現場はとても厳しかった。業務はもちろん、立ち居振る舞い、身だしなみ、言葉使いまで、徹底的に教え込まれた」という。

25歳で瑞泉酒造を営んでいた夫・武さん(71)と結婚。仕事で飛び回る夫を支え、5人の子どもたちを育てあげた。

転機は50歳のとき。子どもたちが県外に進学したこともあり、夫のサポートをするため同社に入社したことに始まる。最大の壁は「泡盛の味を覚えること」だった。というのも「お酒が苦手であまり飲めなかった」と。しかし、接客をする上で泡盛の味を知ることは絶対条件だ。

毎日少しずつ飲んで体を慣らし、味と香りを覚え、独学で学んだ。第一線で働いてきた夫に仕事の面で手助けを求めることは無かったという。「自分で考え、行動した。そうしないと先入観やほかの人の意見に流され、自分の言葉で伝えられなくなってしまう」とキッパリ。

さらに「泡盛の魅力は飲用だけに留まらない点」と佐久本さん。主婦業にも欠かせないアイテムだった。毎回の料理の味付けはもちろん、風邪のひきはじめや予防には島ニンニクなどを泡盛で漬けて作った自家製「薬膳酒」を。衣類の染み抜きへの活用や掃除の後の除菌まで、幅広い使い方を同社のホームページなどでも提案。「女性目線で、もっと多様な活用法を提案していきたい」と語った。



那覇市首里の本社にある古酒の貯蔵庫で古酒の香りを確かめる佐久本さん=写真左。日ごろから泡盛について若手スタッフ=写真右=とも気軽に語り合う間柄だ


入社後は、客室乗務員時代のスキルを生かし、ショールームで接客を担当。会長職の現在も、社員を指導しつつ自らも店頭に立つ。外国人観光客に泡盛の味や香り、楽しみ方など、英語で説明できるのも佐久本さんの強みだ。「多くのお客さまとの出会いから泡盛が国内だけでなく、世界に誇れるお酒だと教えられた」と語る。佐久本さんの姿勢と瑞泉の泡盛にほれ込み、店へ通う人は国内外に広がる。

アジアやアメリカ、ヨーロッパへの販路拡大や商品開発、イベントなども、従来の方法にとらわれず柔軟に提案。「伝統を守りつつ、工芸品など国内外の良いものと組み合わせることでも私たちの商品はもっと良くなる」と確信する。

その一つが創業120周年に限定販売した記念商品の開発だ。フランスの老舗クリスタルブランド「バカラ」に特注したボトルとグラスをセットにして販売。企画から現地での交渉など、その一端を担った。老舗ブランド同士のコラボ商品は注目を集め、即日完売した。

ただ、「泡盛消費の落ち込み」については危機感を募らせる。佐久本さんが期待するのは、代表取締役社長で長男の学さんはじめ若い社員らの、新しい発想や泡盛と真摯に向き合う姿勢だ。「彼らが仕事をしやすいよう支えるのも私の役割。泡盛の良さを知ってもらえるよう私自身も尽力したい」と意気込む。

今ではすっかり泡盛好きな佐久本さん。「ほろ酔い程度に飲むことは健康と夫婦円満の秘けつ」と笑った。

 

佐久本さんのハッピーの種

Q.おいしい泡盛の飲み方は?

自分がおいしいと感じる飲み方が一番なのですが、いくつか紹介します。古酒なら、ワイングラスに少し注いで香りを楽しみます。その後、チェイサーを片手に雰囲気を楽しみながらゆっくりと味わいましょう。度数の高いお酒は、2~3分置いてアルコールを揮発させると、普通にいただくより甘くなります。お湯割りにしてもいいですね。
25度以下のお酒は、水をたくさん入れ過ぎると香りがなくなってしまうことも。オンザロックがオススメです。
 

Q.子育て中の思い出は?

5人の子育ては毎日がバタバタであっという間でした。今は孫たちの育児にも携わっていますよ。
また、私が仕事をするようになってから、夫が積極的に家事を手伝ってくれるので助かっています。
泡盛を飲みながら、会社のことや家族のことなど何でも話せる良きパートナーです。



瑞泉酒造(株)
098-884-1968
沖縄県那覇市首里崎山町1-35(地図
http://www.zuisen.co.jp/


PROFILE
佐久本佐枝子(さくもと・さえこ)1943年、久米島町生まれ。高校進学のため本島に移住し、32年、県立首里高校卒業。67年沖縄大学英文学科卒業し、日本航空株式会社に入社する。68年、結婚を機に退職、以後25年余は専業主婦として1男4女を育てる。94年瑞泉酒造に入社、2008年常務取締役に、13年より現職。



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撮影/比嘉秀明・編集/相馬直子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1192>
第1478号 2015年11月12日掲載

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編集者
横浜市出身、沖縄で好きな場所は那覇市平和通り商店街周辺と名護から東村に向かう途中のやんばる。ブロッコリーのもこもこした森にはいつも癒されています。「週刊ほ〜むぷらざ」元担当。時々、防災の記事なども書かせていただいております。被災した人に寄り添い現状を伝えること、沖縄の防災力UPにつながること、その2点を記事で書いていければいいです!

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