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2024年10月24日更新

株式会社スペースチャイナ 代表取締役 佐藤 未雲さん|中国語を軸に 医療通訳を育成[彩職賢美リターンズ]

佐藤未雲さん(52)は「彩職賢美」掲載時の1997年に起業し、中国語の通訳・翻訳、語学指導の業務に取り組んだ。現在も中国語を軸に社会のニーズに合わせて新しい事業にチャレンジしている。運営する外語学院では、県内の医療従事者と中国人の患者の通訳を担う医療通訳者を育成。コロナ禍以降は、eラーニングにも力を入れている。

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株式会社スペースチャイナ 代表取締役
佐藤 未雲さん


新分野にも挑戦
デジタルを活用


中国で生まれ、19歳の時に残留邦人だった母の故郷である沖縄に帰国し、アルバイトをしながら日本語を習得しました。24歳で起業して中国語の通訳・翻訳、語学指導の業務に取り組みました。それから27年、現在ではそれらに加え、中国での事業のコンサルティングや中国語を生かした仕事と人材のマッチングなど社会の変化に合わせた幅広い事業を行っています。これまで中国語を軸に事業を展開してきたのは、言葉の壁で苦労し、教職に就きたいという夢を諦めた過去を持つ母を見て、母のように言葉の問題で悩む人の夢を応援したいという思いから。また、グローバル化が進む昨今、外国語を学ぶことは自身の可能性を広げることにつながります。

今、観光や医療の分野で中国語ができる人材のニーズが高まっていて、当社が運営している中国語専門学校「スペースチャイナ外語学院」ではそうした人材を育成するために、中国にある名門校への編入・留学や外国人観光に携わる企業でのインターンなど実践を重視したカリキュラムで中国語を習得する「中国語専門科」と、医療従事者と中国人の患者の懸け橋となる人材を養成する「中国語医療通訳科」を設けています。

卒業生は県内外や中国の航空・旅行会社、ホテル、観光施設、病院などで活躍しており、社会から求められている人材の育成に携わってきたことをうれしく思います。


文化・慣習を把握し
患者との懸け橋担う


中国語医療通訳科を設けたきっかけは、観光で沖縄を訪れていた中国の方から当社に電話がかかってきて、旅行中にけがをしたので病院に行ったがコミュニケーションに難があるので通訳をお願いしたいと相談されたため。観光だけでなく医療の分野にも中国語の需要を感じました。ちょうど新しいことがしたいと、カリキュラムの刷新を考えていたところでした。

まずは医療従事者と外国人患者との間で通訳を行う「医療通訳」の指導者としての能力を得るため、医療通訳の知識と技能を評価・認定する「医療通訳技能検定試験」にチャレンジしました。合格するためには解剖学など専門知識も必要で、試験は筆記だけなく実際の場面を想定したロールプレイも行われます。医療通訳者として医療従事者と患者のコミュニケーションを円滑に取り持つためには医学的な知識だけでなく、その国の文化・慣習を理解する必要があります。例えば、中国では医療を受ける際は先払いが一般的で、医療従事者がそれを知らずに対応すると、患者は会計のタイミングが分からず支払いをしないまま帰ってしまうケースもあります。そうしたことも踏まえて双方の懸け橋となるのが医療通訳者の役目です。医学的な知識はまったくの専門外でしたが、猛勉強したかいあって検定に合格し、厚生労働省が定めた医療通訳者を育成するためのカリキュラム基準に準拠した中国語医療通訳科を開設しました。当校は医療通訳技能検定試験の認定会場にも指定されています。


eラーニングに注力
多大な労力で動画作成


近年はコロナ禍の影響で、Web会議ツールを使ったオンライン授業やeラーニングに力を入れています。デジタルに関しては疎く、不安もありましたが、「生徒の学びを止めない」という思いで、まずは学院でオンライン授業に取り組みました。eラーニングは昨年から当社が手掛ける求職者支援訓練に導入しました。昨年12月の開設に合わせてその前月から動画の撮影・編集・アップロードを私一人で担当。必要な動画は630時間におよびました。

最初は慣れない機器の扱いに戸惑いました。動画には長時間見ても疲れないように、内容が分かりやすいようにとスライドを多用していたので、準備に時間を要しました。そのため、1日17時間以上仕事をすることもざらでしたので、弱音を吐きそうになることもありました。でも、そんな時は「自分でやると決めたことでしょう。あとこれだけがんばろう」と自分を叱咤(しった)しました。すべて録り終わるまでに半年以上かかりました。大変な労力を要しましたが、私のモットーは「逆境は尊い」。今日の失敗や困難は次のステップに進むためのものと考え、新しいことに挑戦できる喜びを感じました。


先端技術を取り入れ
世界各国に学びの機会を


現在、eラーニングでの求職者支援訓練は全国で73人が受講しています。来年度から学院の授業でも導入する予定です。eラーニングは地域を問わず、自分のライフスタイルに合わせて学べるのが利点。県内外の多くの人に利用してもらいたいです。今後の目標は、英語によるオンライン授業やeラーニングで日本だけでなく世界各国の人に中国語を学んでもらうこと。そのためにもAIなどの先端技術も取り入れたい。


3人の子どもの母に

写真提供・佐藤未雲さん


30代で結婚した佐藤未雲さんは、3人の子どものお母さん=写真。これまで仕事と家庭はしっかり両立し、家庭には一切仕事を持ち込まなかったという。しかし、昨年のeラーニングの動画作成時は仕事にかかりっきりだった。佐藤さんは「食事の準備などは夫の協力があって本当にありがたかった。反抗期だった次女はその時の私の仕事ぶりを見て、感じ入るところがあったのか家事などを手伝ってくれるようになったのがうれしかった」とふり返る。

趣味の水泳を始めたのは、子どもの付き添いでスイミングスクールに通ったのがきっかけ。待ち時間を活用したいと水泳を習い始めると肺機能が鍛えられ、動画の撮影や美術館のナレーション録音の際にも深い呼吸によって呼吸音がノイズになりにくく、仕事にもプラスになっているそう。ていきましょう。

■株式会社スペースチャイナ
電話 098(863)7053

 

佐藤 未雲さん
株式会社スペースチャイナ代表取締役

[プロフィル]
さとう・みくも/1972年、中国黒竜江省出身。中国人の父と沖縄出身で残留邦人の母の間に生まれ、91年に帰国。97年にスペースチャイナ設立。中国語の語学教育を中心に事業を展開。
 


1997年5月1日号に掲載


撮影/桑村ヒロシ 文/池原拓
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美リターンズ<25>
第1942号 2024年10月24日掲載

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