2024年4月18日更新
ヒスイカズラ|夜でも目立つ花の色 コウモリが受粉助ける|熱帯植物の生存戦略①
文:海洋博公園 中川綾乃(公園係長)
絵:安里淳子(熱帯ドリームセンター職員、イラストレーター)
文:海洋博公園 中川綾乃(公園係長)
絵:安里淳子(熱帯ドリームセンター職員、イラストレーター)
ヒスイカズラ
科名:マメ科学名:Strongylodon macrobotrys(ストロンギロドン マクロボトリス)
ヒスイカズラは元々、フィリピンのルソン島にのみ生育するツル性植物です。宝石の翡翠(ひすい)のような珍しい花色をしており、県外では植物園などで栽培され、人気の高い植物です。
沖縄では3月から5月にかけて、数回のピークを迎えながら開花します。最大1メートルほどの長さに垂れ下がる花茎に数十の花が密に咲く姿は大変美しく、神秘的な花の姿に多くの人が魅了されます。
少し前までは植物園に行かないとみられない珍しい植物でしたが、沖縄県内では個人宅でも見られるようになり、毎年メディアにも多く取り上げられ、この時期、おなじみの植物になってきましたね。
夜でも目立つ花の色
コウモリが受粉助ける
さて、この何とも言えない不思議な花の色。これはアントシアニンとフラボノイドという色素が化学反応を起こした結果、表れる色だそうです。また、この色はヒスイカズラの生きる戦略の一つで、受粉をコウモリに助けてもらうためと考えられています。ヒスイカズラの花の中にはたくさんの蜜が入っていて、それを目当てにコウモリがやってきます。コウモリは夜行性のため、夜でも目立つ花の色になったというわけです。
それにしても美しいこの翡翠色。コウモリだけではなく人間にとってもとても魅惑的ですね。
週刊ほ〜むぷらざ「熱帯植物の生存戦略」
第1915号 2024年4月18日掲載