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2022年7月21日更新
[沖縄スポット]シマ散策⑨|南城市 佐敷小谷
地域の人におすすめのスポットを案内してもらい、その地の魅力を再発見する企画。今回紹介するのは、南城市佐敷小谷(おこく)。「バーキの里うくく会」の会長、平田康幸さん(67)に、集落に残る石畳道や井戸などを案内してもらいました。
高台で風光明媚な坂の里 【南城市佐敷小谷】
南城市の中央より北側、旧佐敷町にある小谷は、明治から戦後にかけては竹細工(バーキ)の産地として名をはせた地域。「バーキの里うくく会」の会長、平田康幸さんは、「小谷は坂道が多く、風光明媚な土地です。先人は集落の東側の平地を耕して田畑にし、西側の山裾に家を造りました」と説明する。
昔の面影残す古道
最初に向かったのは、集落に唯一残る石畳道。道幅2~3㍍ほど、延長は約48㍍で表面には琉球石灰岩が敷きつめられている。平田さんは「かつては集落のいたるところに土砂崩れを防ぐために造られた石畳の道が残っていました。でも、復帰後は徐々にアスファルトの道路に代わり、現在はこの場所しか残っていません。ここは1980年に市の文化財に指定されました」と話す。素朴な雰囲気の古道は、昔ながらの集落の風情を感じさせる。
昔の集落をしのばせる石畳道
絶景楽しめる高台
山裾の傾斜地にある小谷は眺望がよく、坂道を歩いていると海や遠くの山々が見渡せる。中でも集落の南側にある高台「タカンリ」からの眺めは絶景だ。タカンリは、公園のような広場になっていて、中城湾と知念半島が一望でき、心地よい風が吹き抜けて開放的な気分になる。
中城湾が一望できる高台「タカンリ」。昔は毛遊び(モーアシビ)をしていた場所で、今は整備されて公園のようになっている
タカンリは、昔、若い男女が歌ったり踊ったりして交流した、毛遊び(モーアシビ)の場所でもあったという。旧暦6月の綱引きの際には、集落の人たちが東西に分かれてはやし立て、威勢をぶつけ合う「ガーエー」も行われていた。
小谷で最も新しい井戸「中の井(ナカヌカー)」。昔はイモを洗ったり、洗濯をしたりと生活用水として使われた
石畳道のほかにも集落内を巡って井戸(カー)や拝所を案内してもらった。集落の高いところから下に向かって、「上の井(ウイーヌカー)」、「中の井(ナカヌカー)」、「下茂の井(シムヌカー)」と呼ばれる三つの井戸がある。平田さんは「上水道が普及するまで、上の井は専ら飲料用として、中の井はイモ洗いや洗濯に、下茂の井は体を洗うなど雑用に使われていました」と話す。
三つの井戸は市の文化財に指定されていて、小谷の住人で構成されるバーキの里うくく会のメンバーらが井戸周辺の清掃など維持管理を行っている。
かつては産水や若水をくんだ「上の井(ウイーヌカー)」
小谷で最も古い井戸である「下茂の井(シムヌカー)」。大きな岩(写真中央)を境に水場が二つ分かれていることから「夫婦井(ミートゥガー)」とも呼ばれた
昔、畑仕事の帰りに村人が座って一休みした、3~4人が座れそうな岩「美ら石」
案内人
バーキの里うくく会
会長 平田康幸さん
同会では、小谷の文化財巡りなどを有料で行っている。
■098(947)6550
『週刊ほ〜むぷらざ』シマ散策 (池原拓)
第1824号 2022年6月21日掲載