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2022年4月7日更新
[沖縄スポット]シマ散策⑥|浦添市伊祖
地域の人におすすめのスポットを案内してもらい、その地の魅力を再発見する企画。今回紹介するのは、英祖王ゆかりの地、浦添市伊祖。「うらおそい歴史ガイド友の会」の親富祖政昇さんに、県指定の史跡「伊祖城跡(グスク)」などを案内してもらいました。
英祖王ゆかりのグスク 【浦添市伊祖】
地域の人におすすめのスポットを案内してもらい、その地の魅力を再発見する企画。今回紹介するのは、英祖王ゆかりの地、浦添市伊祖。「うらおそい歴史ガイド友の会」の親富祖政昇さんに、県指定の史跡「伊祖城跡(グスク)」などを案内してもらいました。
浦添市の中央付近の高台にある「伊祖」は、「てだこ(太陽の子)」とも呼ばれた英祖王ゆかりの地。集落の北東にある伊祖グスクは、英祖王の父祖代々の居城といわれ、英祖王もこの城で生まれたという。グスクは、ガジュマルなど沖縄の植物が生い茂る琉球石灰岩の丘陵地に築かれた山城で、伊祖公園内にある。
最初に向かったのは、丘陵の東側にあるグスクの入り口。頂上へと続く石段があり、周辺には城壁の石積みが残っている。うらおそい歴史ガイド友の会の親富祖政昇さん(72)は「石積みは、自然石をそのまま積み上げた野面積みと、石を切って加工した切り石積みの2種類があります。この辺りは沖縄戦の激戦地で、激しい砲火にさらされましたが、それでもこうして残っています」と話す。野趣な造りの城壁から歴史の重みが感じられた。
英祖の宮の参道。モクマオウの並木が続く
神話にも登場する聖地
グスクの頂上を目指し琉球石灰岩の切り石で作られた石段を上る。石段はこけむしていて、ガジュマルが根を張り、歩いていると冒険心をかきたてられた。奥の石の鳥居をくぐると拝所の祠へ通じる参道の両脇にモクマモウ並木が続いている。親富祖さんは「祠は昭和初期にグスク内の10カ所の拝所を一つに合わせて祭ったものといわれ、地元では英祖の宮と呼ばれ親しまれ、地域の年中行事などで拝まれ大切にされています」と話す。
伊祖グスクは、南城市の斎場御嶽などとともに国の名勝「アマミクヌムイ」として、国の文化財にも指定されている。親富祖さんは「琉球の開闢神話で伊祖グスクは、国土創生神であるアマミキヨが創造した御嶽の一つといわれ、アマミキヨが順に御嶽を創造し,琉球の国土の起源になったと伝えられています」と説明する。
シーサーヤー。祠の中には集落を守る一対の獅子がまつられている
中南部の海を一望
さらに奥へ坂道を進むと、頂上の「旗立て」と呼ばれる場所に到着した。眼下には浦添の街並み、そして東シナ海が広がっている。あいにくの天気で海にもやがかかっていたが、それでも爽快な眺めだった。「晴れた日には、本島中南部の海を一望できますよ」と親富祖さん。
景色を堪能した後、伊祖グスクを下りて、伊祖集落内に点在する拝所を見て回った。地域の信仰が大切に守られているのがうかがえた。
伊祖グスクの城壁。写真のように石を切って加工した切り石積みと、自然石をそのまま積み上げた野面積みがある
伊祖グスクの頂上、「旗立て」からの景観
英祖の宮へ向かう石段。こけむした石が趣を感じさせる
案内人
うらおそい歴史ガイド友の会
親富祖政昇さん
浦添グスク・ようどれ館を拠点に史跡や戦跡のガイドをしている。
☎098(874)9345
『週刊ほ〜むぷらざ』シマ散策
第1809号 2022年4月7日掲載