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2021年8月19日更新
[沖縄スポット]シマ散策②| 南風原町
記者が地域の人におすすめのスポットを案内してもらい、地域の魅力を再発見!今回は、南風原町宮城。まち歩きツアーでガイドを務める玉城勇さん(68)に見晴らしのよい宮城公園や羽衣伝説ゆかりのカー(井戸)を案内してもらいました。
羽衣伝説ゆかりの水どころ 【南風原町】
公民館から出発し、まずは宮城公園を目指して集落内の細い坂道を上へと歩く。ガイドの玉城さんは「昔はもっと道が細くて舗装もされていませんでした。畑から道路までサトウキビの運搬には馬を使っていました」と振り返る。道中、宮城の発祥の地とされる場所を案内され、昔の様子に思いをはせながら歩を進めた。
宮城公園の展望台からは宮城地域が一望できる。写真中央は21連のアーチ橋が特徴的な那覇空港自動車道の高架橋
展望台のロケーション
坂道を上がると宮城公園に到着。公園は広く、遊歩道や野球場、テニスコート、遊具がそろう。玉城さんは「この辺りは高台で、頂上の平らな場所には昔、馬場がありました。子どもの頃はかけっこや幅跳びをして遊びましたよ」とほほ笑む。遊歩道を奥へ進んで展望台に上がった。見晴らしがよく、吹き抜ける風が心地いい!
玉城さんは「山手に見える那覇空港自動車道の高架橋は21連のアーチ橋で、これだけの長さのアーチ橋は世界的にもまれだそうです」と説明する。普段何げなく利用している那覇空港自動車の高架橋がそんな珍しいものだったとは驚きだった。
井戸や拝所が点在
天女が降りたと伝えられるウスクガー。ウマチーなどの行事の拝所になっている
イーヌカーは、正月の若水をくむ井戸。子どもが生まれる時に産水としても使われていたという。「宮城で一番大事な井戸です」と玉城さん
宮城公園を後にして、集落内に点在するカー(井戸)や拝所を見て回った。宮城は水が豊かで、戦後しばらくは稲作も行われていたという。玉城さんは「水が良いせいか、宮城は昔から美人が多かったそうです」と話す。天女が降りてきたといわれる羽衣伝説=下参照=があるウスクガー(御宿井)は、こけむした琉球石灰岩でできていて歴史を感じさせた。「天女のかんざしが井戸に落ちていると伝えられていて、何度か調査もされています」と玉城さん。記者は南風原町に羽衣伝説があることを取材で初めて知ったが、水の豊かな宮城にぴったりだと思った。
地域の拝所で行われる年中行事や、定期的に行っている修繕や清掃活動の話を聞き、カーや拝所が地域の人々の生活に密着し大事に守り継がれていることに感銘を受けた。
宮城の羽衣伝説
昔、宮城には大国子という人が住んでいた。ウスクガーで天女が沐浴(もくよく)をしているのを見かけて、木にかかっていた天女の羽衣を盗んで隠してしまう。羽衣がなくて家に帰れずにいた天女は大国子と夫婦になり、子どもが生まれる。ある日、子どもたちの歌で羽衣が隠してある場所を知った天女は、羽衣を着て飛び去り、与那原の久場塘(くばどう)で消えたという。写真は宮城公民館にある羽衣伝説をモチーフに描いた緞帳(どんちょう)。
案内人
宮城地域ガイド
玉城勇さん
南風原町観光協会が主催する「まち歩きツアー」では、町内の12の字の歴史や文化など地域の魅力を紹介している。
問い合わせは、098(882)6776
『週刊ほ〜むぷらざ』シマ散策
第1776号 2021年8月19日掲載