健康
2024年11月28日更新
手足、おなか、背中、腰、お尻など冷えてツライ|冷え性改善は鍼灸の得意分野|鈴木先生が解説 なるほど鍼灸⑦
体を各パーツに分けて診る西洋医学と異なり、全身を診る東洋医学の鍼灸は、西洋医学だけでは改善しない症状の最後の砦ともいわれます。このコーナーでは、鍼灸の治療法や特徴、その魅力について、沖縄統合医療学院の鈴木信司先生が分かりやすく紹介します。
鈴木信司(沖縄統合医療学院 学校長)
琉球大学大学院医学研究科博士課程修了、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修了。医学博士。県内初の鍼灸学科を開講した沖縄統合医療学院学校長。はり師・きゅう師等の国家資格と養成教員資格を持つ。全日本鍼灸学会、日本伝統鍼灸学会等に所属。
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沖 縄でも冬の到来を感じる今日この頃。そろそろ冷え性の方にとってはツライ季節です。沖縄では冬場だけではなく、夏のエアコンによる冷えでお悩みの方も多いと思います。
冷え性には、手足が冷える末端型と、腹部、腰、背中、お尻、胸などが冷えやすい体幹型があります。いずれの冷えも個々の体質によるもので、医食同源を大切にする東洋医学においては、食習慣や生活習慣が大きく影響すると考えます。まずは当たり前のことですが、冷え性の方は、温かい食事や飲み物をとるよう心がけ、冷たい飲食物を避けましょう。
薬膳的な視点からみると、すべての飲食物は寒と熱に分けられます。たとえば同じお茶の仲間でも、さんぴん茶や緑茶は体を冷やし、紅茶やウーロン茶、コーヒーは温める作用があります。アルコールでは、ビールは冷やし、ブランデーは温める作用があります。また、自分が暮らす土地でとれた旬のものが体によいと考えます。沖縄の食材でたとえると、夏場に収穫されるゴーヤーやナーベーラーは熱を冷まし、冬に旬を迎える島ニンジン、島ダイコン、島ゴボウは体を温めるというわけです。ちなみに、精製された白い砂糖、白米、白い小麦粉などは体を冷やすとされていますので、黒糖やきび糖、雑穀米や玄米、全粒粉を選ぶのがおすすめです。
灸と鍼を併用して
ツボにアプローチ
冷え症の改善は鍼灸がとても得意とする分野で、特に灸は冷えに効果的です。灸にはさまざまな種類があります。米粒大にひねって丸めたもぐさに火をつけ、熱くなり過ぎないタイミングで消す知熱灸は、ツボへピンポイントに温熱刺激を与えます。もぐさと皮膚の間にスライスしたショウガやニンニクを挟む隔物灸は、冷えている場所を広く面で温める効果があります。
末端型、体幹型のいずれの冷えにも効果的なのが、「三陰交」というツボです。体幹型の冷えには、「関元」、「命門」、「腎兪」などが有効。これらのツボに灸と鍼を併用すると、より改善効果が期待できます。
冷え症を改善する鍼灸の施術は、継続することで冷えやすい体質そのものの改善を目指します。ただし、なかなか改善しないときは隠れた病気が原因の場合もありますので、医療機関を受診してください。
ツボ刺激でセルフケア
冷え性がツライ時
手の冷えは手のひらの中央にある「労宮(ろうきゅう)」が効果的。足はつま先からかかとまでの足指側3分の1に位置するくぼみで第2足指と第3足指の骨の間にある「湧泉(ゆうせん)」。腹部や腰背部など体幹型なら、おへそから指4本分下にある「関元(かんげん)」、おへそのちょうど裏側の腰背部に位置する「命門(めいもん)」、命門から指2本分の両外側にある「腎兪(じんゆ)」。いずれの冷えにも有効なのが、足の内側のくるぶしから指4本分上の骨のくぼみにある「三陰交(さんいんこう)」です。痛気持ちいいくらいの強さで、指で10秒ほど押してみてください。
鍼灸ひとくちメモ
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(一社)沖縄県はり・きゅう・マッサージ師会のホームページ内にある「治療院のご紹介」を参考にしてみてください。那覇市内、南部地域、中部地域、北部地域、離島の地域別リストがあり、施術の選択(はり・きゅう・マッサージ)、保険の取り扱い、女性施術者、訪問対応などの条件で検索することもできて便利です。
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取材/堀基子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』鈴木先生が解説!なるほど鍼灸⑦
第1947号 2024年11月28日掲載