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2020年9月3日更新
幼少期から服育をスタート 服選びで養う「生きる力」|今、知りたいファッションテクニック[6]
パーソナルコーディネーターとして活動する渡嘉敷しんこさんが、服育について紹介する。(文/渡嘉敷しんこ)
幼少期からスタートできる「服育」
皆さんは「服育」をご存じですか? 健康や安全、人とのコミュニケーションを補うなど、衣服の役割や大切さについて理解して暮らしの中で生かし、生きる力や豊かな心を育む取り組みです。今回は毎日の生活の中でできる服育の方法や考え方をご紹介します。
衣服は「身を守るもの」
ファッションとして楽しむ前に、衣服には身を守る役割があると伝えることが服育の第一歩。幼いお子さんに衣服の役割全てを理解させるのは難しいと思いますが、目的やシーンに応じた服選びのこつを伝えることで子ども自身の生きる知恵が養われます。
私は娘が幼稚園に通っていた頃に「かばんはリュックにすると、転んでもすぐに地面に手をつけられるから顔を守れるね」などのアドバイスをしていました。「目立つ色の服は車の運転手さんから気付いてもらいやすいよ」と声を掛けると、娘自身が選ぶ服の色や柄が驚くほど派手になることもありましたが、今ではいい思い出です(笑)。
元々、衣服は「自分を守るための防護服」。健康や安全を考える上で「どのような素材、色、デザインの服がいいのか」、または「長い裾は踏んでしまい、転びやすい」など、着こなし方によっては危険性が増すことも含めて正しい知識を持つことが大切です。
着替えを任せ、見守る
自分の身を守るような服選びができるようになったら、お着替えやコーディネートも、思い切って子ども自身に任せてみてもいいでしょう。大人が驚くようなコーディネートになっても、それは本人が考えた精いっぱいのおしゃれ。その考えを認め、見守ることで子どもの自尊心が育ちます。
服育は子どもだけでなく、ママやパパたちにもたくさんの学びや発見をもたらしてくれます。着替えを子どもに任せると、最初は親子で戸惑うこともあるかもしれませんが、子どもの新しい一面や成長を実感できるはずです。また、思春期などのコミュニケーションが取りづらいときも、子どもが好んで身に着けている服の色やデザインで心の変化などに気付けることもあります。
子どもの成長に合わせて衣服のリサイクルや廃棄処分などについて話してみるのもいいでしょう。
幼少期に衣服の選び方、着こなし方などの声掛けを行ったり、一緒に手入れをすることは、衣服に対する将来の価値観に大きく影響します。暮らしの中で少しずつ「服育」を取り入れて子どもの成長を応援してみませんか。
服育は幼少期から始められる。制服を着るようになったら、その必要性や役割などを伝えることも必要
■子どもに伝えたい服選びのアドバイス■
①気温が高い日のお出かけ
⇒「この素材は汗をかいてもすぐに乾いて気持ちいいね」
②寒暖差が激しい日
⇒「この組み合わせは脱ぎ着しやすいよ」
③公園で遊ぶとき
⇒「ストレッチ素材のズボンは動きやすいね」
④長時間歩く場合
⇒「リュックだと、転んでもすぐに地面に手をつけられるね」
とかしき・しんこ
骨格診断士、パーソナルコーディネーター。大手アパレルメーカーでの勤務経験などを生かし、一人一人に合った着こなしを提案している。
◆フィーカ デザイン 【HP】ficcadesign.com
『週刊ほ〜むぷらざ』今、知りたいファッションテクニック
第1726号 2020年9月3日掲載