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看護師で介護支援専門員の資格も持つディロング直美さんが、父親を家族で13年間在宅介護した経験をつづります。(文/ディロング直美 「家族介護のwa」代表)
サービス利用し負担を軽減
脳梗塞を発症してから度重なる合併症を患い、入院、転院を繰り返していた父がようやく自宅復帰できたのは、最初の入院から2年後のことでした。精神状態がまずまず安定し、歩行など生活動作も回復してきたタイミングで、自宅へ退院となりました。
ミキサー食に不眠も
その時の父は要介護3。手引きで歩けましたが転倒のリスクもあり、車いすも利用。飲み込む機能が落ち、食事はすりつぶしたミキサー食で介助が必要だったものの、口から食べることができました。
排尿や排便は、リハビリパンツを着用してトイレを利用できました。物忘れや理解力の低下はありましたが、会話で意思疎通ができました。
夜は不眠がちで、自室のベッドと食卓の椅子を何度も往復したり、いろんなことを喋りながら要求したり、動きが止まらないこともありました。時々はふざけているのか認知症の影響なのか、面白いことを言って家族も一緒に大笑いすることもありました。
山積みの不安
父の介護を始める時の母は「ずっと家で見るのは無理なんじゃないの? お風呂はどうする? 食事も毎回ミキサーで作れる? 肺炎が再発しないかな? ベッドはどうする? 夜眠ってくれる? 認知症が悪化しないか? トイレは大丈夫? 私が倒れないか心配」と不安が山積みでした。
そんな母の負担を減らしながら父の体調や機能を維持できるよう、ケアマネージャーに相談。母にも説明し確認しながら、訪問介護や配食サービスなど、さまざまな在宅サービスを利用することにしました=下表。

私も訪問看護やデイケアに転属し、その後はクリニックへ転職。夜はできるだけ家に居るようにして、母と交代して父のベッドサイドで就寝し、緊急時の対応に備えるようにしました。
デイサービスを利用することで日中、母が休息できたのはもちろんですが、父の生活リズムも整ってきて夜も少しずつ寝てくれるようになりました。父が2泊3日のショートステイ中は母も睡眠がとれて体調が維持でき、表情も少しずつ和らいできました。
朝は訪問介護で出かける支度をしてもらい、夕食は配食サービスを利用。配食サービスはメニューが豊富で温かく、すぐに食べさせることができ、手間が省けて本当に助かりました。
「おいしいなぁ」で笑顔
調理師だった父の得意料理の一つがハンバーグです。父自身は固形物は食べることはできませんが、家族の夕食に作る際は肉をこねてもらったり、教わった通りに作ったデミグラスソースを味見してもらったり。手の機能や味覚をはじめ五感を刺激できるように生活リハビリを取り入れていました。時には、ステーキが食べたいから作ってほしいとリクエストがありましたが肉は食べられないので、焼いた肉をすりつぶし、濾した肉汁にとろみを付けて食べてもらった時の「おいしいなぁ」の笑顔は、介護で疲れている家族も一緒に笑顔にしてくれました。本当はステーキの肉にかぶりつきたかったと思います。
いつもできることではありませんが、休日に家族でのんびりと過ごすことで、病気になる前の家族の時間が戻ってきます。そんな時は、病気を乗り越えて家に帰ってきた父と、気丈にそばで支える母の姿に感謝し、改めて父を自宅に帰して良かったと思いました。
自宅で好きな音楽を聴き、機嫌よく過ごしていた父でしたが、尿路感染症、誤嚥(ごえん)性肺炎、腸閉塞を再発。1年後には病院生活に戻されてしまったのです。父の経過が心配でしたが、母が自宅介護から解放されて休息できるので、ホッと安心する気持ちもありました。
執筆者プロフィル

でぃろんぐ・なおみ/看護師。亡き父を13年間介護。2023年「家族介護のwa」設立。「ワクワク介護叶(かな)え隊」の翁長久仁子さんと共に介護の悩みを話し情報交換できる「介護の語り場」開催中
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毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」13年間の在宅介護日記(5)
第2035号(2026年8月13日発行)から転載