沈黙の臓器 膵臓のがん|人生100年!!ココカラ健康長寿

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膵(すい)がんは、がんの中でも5年生存率(がんと診断されてから5年後に生存している患者の割合)が最も低いそうです。早期では自覚症状がなく、一般的な検査では早期発見が困難と言われています。専門家に疾患の要因や予防について聞きました。(編集部/池原拓)

50歳から注意を 早期発見が大切

膵がんの要因(リスク因子)には、糖尿病や慢性膵炎などの膵臓の疾患、家族歴、肥満、飲酒・喫煙などがある。友愛医療センター消化器内科副部長の知念健司医師は「特に50歳を過ぎたらリスク因子をチェックして、かかりつけ医などと相談してから、専門的な検査を受けましょう」と呼び掛ける。

教えてくれたのは

社会医療法人 友愛会 友愛医療センター 消化器内科副部長 内視鏡センター長 知念健司さん
自治医科大学卒。日本膵臓学会 膵臓指導医。日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医。胆膵疾患を主に担当している。

Q1 主な要因は?

A 糖尿病や慢性膵炎 肥満や大量飲酒

膵臓は消化液(すい液)や、血糖値を調節するインスリンなどのホルモンを分泌する重要な臓器です。膵がんのリスク因子(病気を引き起こす確率を高める要因)の一つは糖尿病。糖尿病患者は、そうでない人に比べて膵がんのリスクが2倍に高まるとされています。特に50歳以上で急に糖尿病になったり、急激に血糖値が悪化したりした場合は要注意です。家族歴もリスク因子で、親やきょうだいに膵がん患者が1人いればリスクは4倍、2人以上いればさらに高まります。

慢性膵炎などの膵臓の疾患がある人も膵がんになりやすいです。慢性膵炎は、膵臓に炎症が長期間続いている状態で、進行すると組織が硬くなって(線維化)、機能が衰えていきます。膵臓の線維化は、進行すると元の状態には戻らないため早期発見と治療が重要です。

大量飲酒・喫煙などの生活習慣や肥満は膵臓に負担をかけ、膵がんや慢性膵炎のリスク因子になります。

Q2 自覚症状は?

A 早期では症状なく検査で発見も困難

胃がんや肝がんなどのがんの死亡数が減少傾向にある中で、膵がんの死亡数は年々増加しており、5年生存率(がんと診断されてから5年後に生存している患者の割合)も約12%とがんの中で最も低いです=右表・グラフ参照。膵がんは早期では自覚症状がなく、一般的な検査では早期発見が困難なため、だいぶ進行してから見つかることが多いことも理由として挙げられます。

膵臓は胃の裏側にあることもあって=上図参照、エコー検査などでは腫瘍を見つけることが難しく、血液検査で測定する「膵酵素(膵臓に異変があると血液中に増える消化酵素)」や「腫瘍マーカー(がんがあると血液中に増える物質)」も診断の決め手としては不十分です。

膵がんや慢性膵炎が進行すると、膵臓の機能が低下して消化液やインスリンを分泌する力が減るため、消化不良や栄養不良になったり、糖尿病のリスクが高まったり悪化したりします。

膵がんの進行度(ステージ)別の5年生存率のグラフ。ステージが進むほど生存率が低下していくので早期発見が重要(友愛医療センター提供)

主ながんの5年生存率。がんの中でも膵がんの生存率が低いことが分かる(友愛医療センター提供)

Q3 予防で気をつけたいことは?

A 危険因子を把握して医師と相談を

腫瘍の大きさが10㍉未満(早期膵がん)のうちに発見できれば、5年生存率は80%というデータがあり、早期発見が極めて重要です。早期の膵がんは自覚症状がなく、一般的な検査では発見が困難なため、特に50歳を過ぎたら糖尿病や家族歴などのリスク因子があるかをチェックし=右図参照、かかりつけ医などと相談してから、専門的な検査を受けましょう。

広島県尾道市では、地域の医療機関が連携して膵がんの早期発見に取り組むプロジェクトを立ち上げて、かかりつけ医が問診や検査でリスク因子を持つ患者をチェックし、速やかに中核病院で専門的な検査を行うことによって、早期発見率や5年生存率が大幅に向上した事例があり、全国でもこの「尾道方式」と呼ばれる地域連携が広がっています。地域病診連携が必要不可欠となっています。

慢性膵炎は、膵がんのリスク因子であり、進行して線維化が進むと元の状態には戻らないので、膵臓に負担をかける生活習慣を改めて、健診などで膵臓の異常を指摘されたら早めに医療機関を受診しましょう。

Q4 生活で気をつけたいことは?

A 大量飲酒と喫煙 脂質の多い食事

大量飲酒・喫煙などの生活習慣や肥満は、膵がんや慢性膵炎のリスクを高めます。適度な飲酒(純アルコール量で1日あたり約20㌘程度)と、禁煙をしましょう。膵臓に疾患がある場合は、禁酒を強く推奨します。

肥満を防ぐため、適切な量とバランスの良い食事を心掛けましょう。特に脂質の多い食事は消化液の分泌を過剰に促して、膵臓への負担を増大させるので取り過ぎに注意してくだい。

運動習慣も大事です。ウオーキングなど30分程度の有酸素運動(早歩きで汗ばむくらい)で脂肪を燃焼させましょう。肥満だけでなく糖尿病予防のための血糖コントロールにつながります。

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毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」人生100年!!ココカラ健康長寿(12)
第2016号(2026年4月2日発行)より転載