歯の健康に関係?かみ合わせ|人生100年!!ココカラ健康長寿

きょう6月4日から歯と口の健康週間です。歯並びは見た目だけでなく、歯の健康にも関わっていると言われています。専門家に歯並びが悪くなる原因やリスク、口の機能を維持するポイントについて聞きました。(編集部/池原拓)

正しい舌の位置 口の機能維持

歯並びが悪いと80歳の時に20本以上の歯が残っている状態、いわゆる「8020」の達成率も落ちるという。サザン歯科まえだの小橋川恵子歯科医師は「歯並びが悪くなるのは間違った舌の位置も要因の一つです。舌が下がると飲み込む力など口の機能の低下にもつながるので、舌の体操などで鍛えましょう」と呼び掛ける。

教えてくれたのは

医療法人 幸輪会 サザン歯科まえだ 小橋川恵子さん
2001年 九州大学歯学部卒。05年 同大大学院博士課程修了・歯学博士。07年 沖縄に移住し、数カ所の歯科医院に勤務後、現在、同歯科医院に勤務。

Q1 歯並びが悪いと?

A 歯周病などを促す 特定の歯に負担

歯並びは歯の健康のためにとても重要です。将来どれだけ自分の歯を残せるかが違ってきます。80歳の時に20本以上の歯が残っている状態、いわゆる「8020」の達成率を調べたデータ=下図参照=では、正常な歯並びでは約80㌫と高い水準です。しかし、下の歯がデコボコ(下叢生)の場合は約30㌫に、奥歯をかみ合わせた時に上の前歯が下の前歯を深く覆う過蓋咬合では14㌫まで落ち込みます。上叢生(上の歯がデコボコ)、反対咬合(下の前歯が上の前歯よりも前に出ている)、開咬(奥歯をかみ合わせた時に上下の前歯が閉じず、隙間がある)にいたっては0㌫となっています。歯並びが悪くなるのは遺伝などさまざまな要因がありますが、食べ物を飲み込む時に舌で歯を押したり、安静時に舌が上下の歯の間に出ていたりと、本来の舌の動かし方ではない「舌癖」も大きく影響します。口がぽかんと開いている、口呼吸をしている、くちゅくちゅ音を立てて食べる、これらに当てはまる時は舌癖がある可能性があります。

歯並びが悪いと歯茎などに汚れがたまりやすく、虫歯や歯周病が進行しやすくなります。また、特定の歯に過剰な負担がかかりやすく、歯の詰め物やかぶせ物が外れたり歯が割れたりするトラブルが起きやすくなります。虫歯や歯周病によって歯を失うと、さらにかみ合わせが悪くなっていくので放置せず早期の治療をおすすめします。

大人になってから歯並びを矯正すると、抜歯が必要な場合もあるので、歯や顎が成長する子どものころから気をつけることが大事です。

Q2 体にも影響?

A 生活習慣病の要因 重篤な病招く恐れ

口の健康は全身の健康に影響します。私が診てきた患者さんも「歯は悪いが体は元気」という人は非常に少ないです。虫歯や歯周病で歯を失うなどして口の機能が低下すると食生活に悪影響を与えます。よくかまずに味わって食べることが少なくなって味の濃いものや油っこい料理を好むようになり、それが肥満や糖尿病・高血圧などの生活習慣病につながり、ドミノ倒しのように脳卒中や心不全といった重い疾患を招く恐れがあります。むし歯や歯周病は、いわゆるメタボリックドミノ=下図参照=の「上流」にあるといえます。

出典:慶應義塾大学医学部内科学教授 伊藤 裕先生 日本臨牀 61,1842-1843,2003より引用、一部改変

また、舌が下がった状態(低位舌)で舌が普段正しい位置にない人は、口呼吸をしやすくなります。口呼吸は鼻呼吸に比べて空気中のウイルスを取り込みやすくなり、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めます。睡眠時無呼吸症候群は睡眠の質を低下させ、心臓や血管に大きな負担をかけると言われています。

Q3 予防で気をつけたいことは?

A 足を地につけてかむ 舌が下がらない

顎が成長する子どもの時に姿勢や正しい舌の位置に気をつけることが大事です。姿勢が悪いと歯の当たる位置がずれてかみ合わせが悪くなります。それが続くと、正しくないかみ合わせが癖になってしまいますし、特定の歯に負担がかかってすり減りさらにかみ合わせが悪くなる悪循環に陥る恐れがあります。

食事の際にしっかりとかむために気を付けたいことは、足の裏を床にきちんとつけることです。特に小さな子どもの場合、いすが高過ぎて足がブラブラしているなら、足をのせる台を置くなどして工夫してください。

上顎の成長は10歳頃がピークと言われいます。舌が正しい位置にあることで顎が成長して広がり、正常な歯並びや整った顔の骨格の形成につながります。

舌の正しい位置は、普段口を閉じている時に、舌全体が上顎にぴったりとついている状態です=下図参照。口呼吸や舌の筋肉の衰えなどで舌が下がった状態(低位舌)になると、歯並びが悪くなるだけでなく飲み込む力が低下する原因になります。咀嚼する時に舌は食べ物を歯の上に乗せ、頬や唇と協調してかんだものを飲み込む動作を担っているからです。

出典:「プレオルソ こども歯ならび矯正法 No.1」より作図、一部改変

Q4 セルフケアは?

A あいうべ体操 ぶくぶくうがい

舌を正しい位置に導き、口の機能を維持するには「あいうべ体操」などの口の運動が効果的です=下図参照。ながらでいいので1日に30回程度行うといいでしょう。歯磨きのついでに、水を口に含んでブクブクうがいをするのもおすすめ。水を含まずにうがいの要領で頬や舌を動かしてもいいです。

出典:「みらいクリニック」院長今井一彰先生考案、「あいうべ体操」より作図、一部改変

食事はひとくち30回はかみましょう。いろいろな硬さの食材を食べることも口のトレーニングになります。特に子どもの場合、前歯で「かぶりつく」動作は顎を広げるのに大事と言われているので、例えば煮物やカレーライスの具材は少し大きめに切ってかむ訓練をさせてもいいと思います。トマトなど水分が多い食材は、口から水分をこぼさないように唇を閉じながらかむ練習になります。


毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」人生100年!!ココカラ健康長寿(14)
第2025号(2026年6月4日発行)より転載