Body care gu 共同代表の具志皇子さん(53)
カイロプラクティックやエステなど、体と心と肌のバランスを整えるトータルケアサロン「Body care gu(ボディ ケア グー)」を夫婦で営む具志皇子(きみこ)さん。さまざまな知識と技術、10年間の家族介護など経験を生かし、近年は介護美容セラピストの育成にも携わる。店を「病気や介護の予防に役立つ場所にする」ため、挑戦を続けながら前へと進んでいる。

18年の信頼と絆、夢へと続く道
挑戦を続け広がる世界 夫婦から家族の目標に
那覇市鏡原町の静かな住宅街。2階の店舗ドアを開けると、道路側の大きな窓から差し込む光と清潔感、招き入れる声と笑顔に包まれ、ふっと肩の力が抜ける。
具志皇子さん(53)が夫の一正さん(56)と二人三脚で営んできた「Body care gu」が18周年を迎える。皇子さんが「お客さまに支えられて今がある。感謝の気持ちでいっぱい」としみじみ語る。
夫はカイロプラクティックを、皇子さんはエステで肌と心のケアを担当している。夫婦共に子ども好きで、開業当初から子連れOKのスタイルでやってきた。お母さんが施術を受けている間は、子どもを抱っこしてあやし、子育ての悩みも聞く。開業当時に来ていた子どもたちは皆、大人になった。県外の大学に進学しても、休みに「ただいま」と来店したり、結婚して自分の子を連れてきたりすることもある。自身を「肌の生まれ変わらせ屋」と表現する皇子さん。ニキビで深く悩み、伏し目がちだった女の子は、症状が改善すると自信を取り戻したように目が輝き、事業にも挑戦した。「この仕事は、肌や体の手入れだけじゃなくて、人生を歩むための力を与え、背中を押すこともできる」。そう語る表情に充実感が満ちる。積み重ねた技術で体のケアだけでなく、心で向き合い、凝り固まった気持ちもほぐすように寄り添ってきた。
皇子さんは、決して「絶対」という言葉は使わない。他院や病院との連携を勧める誠実な姿勢で、著名なスポーツ選手も通うほどに信頼を築いてきた。コロナ禍の休業後も常連客が戻り、乗り越えることができた。
もともと香り好きだった。社会人になりストレスを抱え、アロマトリートメントを受けたとき、「この技術は人の役に立つ」と確信した。カイロプラクティック専門学校と介護施設を営む実父の勧めもあり、アロマセラピーアドバイザーの資格を取得。夫と独立開業した。
皇子さんは家族介護も経験している。重病で義母が入院したときは、医師に確認しながらアロマを選び、むくんだ足や腕をマッサージしてふさぎ込む母に穏やかな時間をつくった。「義母はおむつ替えをわずかな人にしか許さなかったけど、その中に私がいた。そんな関係を築けて良かった」と語る。義父を在宅介護したときは、デイサービスへの送り出し、入浴介助、失禁の対応など、仕事をしながら介護が常にある生活を10年続けた。「義父と喧嘩したこともある」と笑う。きれいごとではすまない現実を正面から受け止めた。
昨年から「介護美容セラピスト」を育てる講師も務めている。「高齢者の肌や血管はもろく、手技の圧にも細心の注意が必要なんです。短時間で疲れさせないこと。美容の知識だけでなく介護の理解も欠かせません」。経験に裏打ちされた言葉が説得力を増す。
長男は「両親のような仕事がしたい」と薬学部に進んだ。皇子さんは「将来は店を、本当に相談ができるドラッグストアにしたい」というビジョンがある。腸内解析アドバイザー®️の資格取得もその布石。今は登録販売者資格を目指す。「病院の一歩手前の存在として予防や介護予防に力を入れたい」。その思いは家族の目標となり大きく育っている。
皇子さんがいつも伝えていることがある。「女性は特に自分を後回しにしがち。だからこそ、うちだけでなくていいから、自分がリフレッシュできる場所をいくつも持って、自分を整える時間を持ってほしい」。自身を「亀みたいにのんびり」と評するが、その歩みは確実に前へと進み、たくさんの人の癒やしと健康づくりへと、つながっている。
肌ケア通じ自信を届ける

アロマやスキンケアに腸活など、さまざまな講習会で講師を務めている皇子さん=写真左奥。モットーは「『絶対にいいです』とは言わない」ことだ。沖縄の強い紫外線と独特の水質という環境を踏まえ、利用者一人一人の肌質や生活習慣に合ったケアの方法や商品を提案している。すでに使っているスキンケアを否定することはしない。「今あるものを生かしながら、カバーできる方法を一緒に考えることを大切にしています」と語る。講習会の参加者も「安心して講義を聴けた。これなら取り入れられそうというのが学べて良かった」と好評だ。
昨年からは介護美容セラピストを育てる講座の講師も務めるなど活動の幅をさらに広げている。
チェロの音で自分を整える

発表会で指導者(右側)と一緒にチェロを演奏した(具志皇子さん提供)
皇子さんは3年ほど前からチェロを習いはじめている。出合いは葉加瀬太郎氏のコンサートだった。華やかなバイオリンの隣で、チェロの深く豊かな響きが胸に突き刺さった。「いつか1度でも弾いてみたい」という思いを温め続けて数年。知り合いの紹介でようやく楽器もレンタルしてくれる先生に出会った。チェロは胸のあたりに楽器を置いて弾く。弦の振動が体に伝わり、自分の中で音が広がる感覚が好きだという。「楽器の一部になっているみたいで、それが心地いい」。
発表会ではパッヘルベルのカノンを指導者と一緒に演奏した。「『上手に弾くより、挑戦する姿を見せることに意味がある』と言われ、その言葉に背中を押されました」と皇子さん。舞台に立ったその体験が、また次の1歩へとつながっている。
プロフィル

ぐし・きみこ
1973年、那覇市出身。アロマセラピーアドバイザー、炭酸フェイシャルトレーナー、(一社)パーソナルヘルス協会腸内解析アドバイザー®︎。2008年7月、那覇市鏡原町に夫の一正さんとトータルケアサロン「Body care gu」を創業。ハーブや炭酸コスメを活用するエステ、ハーブテント、アロマ、腸活のアドバイスなど、肌と心のケアに取り組むほか、多方面からの講師依頼にも応える。長年、家族介護も経験。昨年から介護美容セラピストの講師も務め、後進の育成にも携わる。1男1女の母。
電話 098(859)0706
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撮影/比嘉秀明 取材/赤嶺初美(ライター)
毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」彩職賢美〈1461〉
第2028号(2026年6月25日発行)より転載
