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精神科医の長田清さんが、人生を豊かにする心の持ち方や、職場や親子の人間関係などについてつづります。(文/長田清 長田クリニック院長)
相手の存在を肯定する「OKメッセージ」の達人に
皆さん、ほめることについてどう思いますか。日々家族や周りの人をほめていますか。小さなお子さんを持つ親御さんはわが子がいとおしく思え、良いところを見つけてほめることに夢中になります。
しかし、幼児期を過ぎて学童期に入ると、子どもが言うことをきかなくなり、子育てに不安を抱くようになります。「ほめて育てる」路線からの撤退が始まります。ほめて甘やかし溺愛しては子をダメにする、ほめてばかりだと打たれ弱くなって、社会で通用しなくなる、などの社会通念にとらわれるようになります。
次第に叱責(しっせき)、怒鳴る、小さな暴力で子どもをコントロールしようとします。しかし、中学校に入る頃になると反抗が激しくなり、さらに関係が悪化し、感情的な罵声の応酬になり、将来の親子関係に悪影響を及ぼすこともあります。でも大丈夫。いつでもやり直せます。「ほめて育てる」の原則に戻りましょう。
「ほめて育てる」とはよく聞きます。「三つ叱って五つほめ七つ教えて子は育つ」ということわざ(言い伝え)があります。これは子どもだけでなく、大人に対しても有効です。戦前の海軍大将だった山本五十六は「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」と、人材育成の極意を語っています。ですから「ほめること」を対人関係の基本戦略としましょう。

①ほめることは肯定すること
相手の資質や行為を称賛することがほめることですが、その前に相手の存在を認めます。例え相手に問題となる行動があったとしても、そうせざるを得ない理由も考えて肯定します。「大変だね」「よくやっているね」
②ほめることはポジティブな感情を伝えること
ポジティブな感情とは、好意、思いやり、関心、希望、謝罪、感謝、喜び、興奮、楽しみ…。「良かったよ」「ありがとう」
③ほめることは非言語的に多く伝わる
言葉の内容よりも、伝え方の方が重要です。明るく、優しく、しっかり相手を見る。うなずく、ほほ笑む…。
これらのほめ方をOKメッセージと言います。お世辞とかほめ殺しとか、ネガティブな側面を持つ「ほめる(称賛)」と違って、相手の存在を肯定する意味が強いです。考え方・やり方・能力の違い、年齢・性別の違いなど多くの差違を飲み込んで相手を受け入れます。意に沿わない相手でもすぐ変えようとせず、まず肯定してリラックスして交流すれば、お互いに近づけます。家族であればなおさらです。さあ、あなたもOKメッセージの達人になろう。ほほ笑んでうなずく。
次号ではそのこつを深掘りします。
前回(8月27日号)の読者の感想
◆普段1人で考えていると、思考がループしてどんどん暗く落ち込みそうになります。記事を読み、この「内観法」なるものができたら狭い思考に陥らず、良い発見につなげられそうだと感じました。この方法は、普段の生活の中で「意識する」だけでも、自然と出来るようになっていくものなのでしょうか。(チカ・56歳)
ドクトル「良いことは身の回りで起こっていても、誰のおかげかは気づかないもの。毎日意識して“おかげ”をノートに記録していくといい感謝の訓練になります」
◆「してもらったこと」「おかげ」に気づくとそこに無償の愛があったことに感謝し、今度は誰かへ手渡したくなるってすてき過ぎです。「幸せに敏感」になるってとても大事だけどなかなかできていないので意識していきたいと再確認いたしました。(幸せに敏感・61歳)
ドクトル「普通に水や電気が使えて、医療がいつでも受けられる。そのようなことがどれだけありがたいか気づけると、今の自分がどれだけ幸せなのか分かりますね」
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執筆者プロフィル

ながた・きよし/2001年に那覇市で長田クリニック(精神科)を開院。心理療法の活動に軸を置く。沖縄いのちの電話理事長。おきなわCAP代表。沖縄エッセイスト・クラブ会長。著書「ドクトルきよしの大ピンチ」ほか多数
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毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」ドクトルきよしのダイヤローグ(6)
第2041号(2026年9月24日発行)より転載