読了時間 約4分
整理収納をサポートする根原典枝さんが、50代から人生を軽くする心持ちをつづるエッセー。最終回のテーマは、人との間の「距離感」。ごきげんでいられる距離感を考えます。(文/根原典枝 株式会社暮らし方ラボ代表)
末娘が、この9月で18歳になりました。選挙権を持ち、来年には大学生として少しずつ自立していきます。一人の大人として関われる日を、私はずっと楽しみにしていました。
子どもを産み育て、いつか一人で歩いていけるように関わる。そして、その先は少しずつ手を離していく。子育てで一番大切にしてきたことです。
これから失敗することもあるでしょう。でも、その失敗もきっと、その先の学びになる。だから私は、先回りして転ばないようにするのではなく、必要なときには手を差し伸べながら、見守れる距離にいたいと思っています。
親子間だけでなく、私が人との関係で大切にしているのは、「いい距離感」です。友人でも仕事仲間でも、人と人との距離がギュウギュウに近くなり過ぎると、その人の良さが見えなくなることってありませんか。
これ、実はモノも同じなんです。
引き出しやクローゼットにモノをギュウギュウに詰め込んでしまうと、何があるのか分からなくなります。持っているのに使わなくなり、その存在すら忘れてしまうこともあります。
少し余白があるから、一つひとつがよく見える。人間関係も、それと似ています。お互いの間にちょうどいい余白があるから相手の良さが見え、自分らしくいられるのだと思います。
サインは「違和感」
では、その「ちょうどいい距離」をどうやって見つけるのか。
実は私、その距離感を測る、自分なりの物差しを持っているんです! それは、「違和感」です。
話していて、なんとなくモヤッとする。会ったあとに、なぜか疲れている。本当は気が進まないのに、無理に合わせている。そんな小さな違和感を覚えたら、私は少し距離をとるようにしています。
どちらが正しいとか悪いとか、答えを出す必要はありません。人にはそれぞれ価値観があり、心地よい距離も違います。だから、上手に距離をとる。ただ、それだけです。
片付けも、人間関係も、「捨てる」「切る」ことが目的ではありません。大切なのは、自分にとって心地よい状態をつくることです。少し離れ、ちょうどいい距離を取ると、感謝の気持ちが自然と湧いてくることがあります。
会うと元気になる人。一緒にいると新しいことに挑戦したくなる人。何も話さなくても心地よい人。そして、自分も相手も無理をしなくていい関係。
そんな人との時間を、これからはもっと大切にしたいと思っています。
最近、意識している言葉があります。「一期一会」です。
お店で出会った店員さんに、にっこり笑って「ありがとう」。何かしてもらったら、「すごく助かりました」
ほんの一瞬の出会いでも、できるだけ感謝の気持ちを言葉にして伝えるようにしています。何より自分自身が気持ちいいからです。

相手が笑顔になれば、私もうれしくなる。たとえ、その日限りの出会いだったとしても、お互いが少しごきげんになって、その場を離れられたらすてきだなと思うのです。
自分がごきげんでいられる、ちょうどいい距離感。それが50代になって、やっと分かるようになった気がします。
誰かとの距離に違和感があったときは、「今の私、ごきげんかな?」と、自分に聞いてみる。小さな問いが、自分にとっての「ちょうどいい距離」を教えてくれるのかもしれません。 終わり
執筆者プロフィル

ねはら・のりえ/1972年うるま市出身。2010年に片付け・掃除で悩む人をサポートする(株)暮らし方ラボを設立。
電話 080(2731)8883
https://kurashikata.co.jp
↓画像をクリックすると、「暮らし方ラボ」のホームページへ移動します。
毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」50代から人生を軽く 片付けコンサルタント・根原典枝の人生整理術(6)
第2040号(2026年9月17日発行)より転載
