新しくなった牧志公設市場|沖縄さんぽ②|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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2023年6月15日更新

新しくなった牧志公設市場|沖縄さんぽ②

那覇市第一牧志公設市場には、新鮮なお肉や刺し身、専門店のジーマーミ豆腐、冷やしレモンなど、ここでしか出合えないものがいっぱいだ。新しくなった「県民の台所」へ出かけてみませんか。


やり取り楽しむオープンな造り

「市場の魅力は相対売り(売りたい人と買いたい人のやり取り)。旧市場の雰囲気を残して、売り手の顔が見えるオープンな造りになっている」と粟國智光さん(第一牧志公設市場組合長。3面でお店紹介)。3階建ての市場は、バリアフリーで授乳室もあり、子どもから高齢者まで利用しやすい造りだ。名物のジュースや専門店など、気になるお店を訪ねた。価格はすべて税込み。



さまざまな部位がそろう
上原精肉店


豚肉や牛肉のさまざまな部位を扱う上原精肉店。県産豚を使ったラフテーなどオリジナル商品も人気だ。代表の上原正敏さん(62)は、「1番人気は県産の豚三枚肉(1斤600g1100円、ハーブ豚1200円)。皮をバーナーであぶっているので、毛がきれいに処理できてやわらかい」と説明する。オススメの部位はソーキ。「一般的な肋骨(ろっこつ)以外に、身もうまみもある首骨のソーキもあるよ」。欲しい量を購入することができ、カットも頼める。

「小回りのいいサービスが市場の良さ。シーブン(おまけ)文化も残っているしね。新しくなって沖縄のお客さんも増えて、半々くらい。若い人にも来てもらえるよう工夫したい」

薄切り、とんかつ。好みにカットするよ!

●9:00~18:00
●第4日曜日定休


復活した「冷やしレモン」
コーヒースタンド小嶺


旧市場時代に人気だったコーヒースタンド小嶺の「冷やしレモン」が約2年ぶりに復活した。冷やしレモンは、シークヮーサーの酸味が爽やかなジュース(120円。オープン価格)。砂糖不使用ですっきりとした後味だ。

店主の小嶺勇さん(69)は「シークヮーサーは県産。毎年ヤンバルへ採りに行き、ジューサーで搾って冷凍している。お客さんと話すのが楽しいね」と話す。

店先のイスに腰掛けて冷やしレモンを飲む。「ゆっくりしてね」という小嶺さんの一言に、スッと疲れが溶けていく。

ゆっくりしてね


●13:00~18:00
●木曜定休


戻さずに使える乾物
山城こんぶ屋


手前はかんぴょう、奥は切り干し大根


中央のフシカブ大根(割干大根)は市外から買いに来る人も

組合長の粟國智光さん(48)=下写真右=は、3代目。「戦後、ひいばあちゃんがバーキ(竹ざる)に、ゆがいた長い昆布を入れて売ったのが始まり。戦後は未亡人も多く、市場は女性が主役だった」

お店で扱う切り干し大根や切り昆布、スンシー(タケノコを発酵させた保存食品)など(1斤600g500~800円)は、戻したものを販売している。「イリチー(炒め煮)は、そばだしを入れると、味が決まるよ」。塩抜きに半日以上かかるスンシーが一番人気だ。

2代目の和子さん(75)=下写真左=は、小学2年生から、夜中に昆布をたくための薪(まき)を運び、店を手伝ってきた。「新しい市場を見られるかねぇと思っていたけれど、この場に立てた。向こうでオカアやオバアに自慢できるね」と笑った。

母の代から同じ産地の商品で、確かなものをそろえているよ。

和子さんが裂いているのがスンシー
●9:00~18:00
●第4日曜日定休

できたてのジーマーミ豆腐
はま食品


作り立てのジーマーミ豆腐を販売している「はま食品」。4代目の大浜用輝さん(33)=写真左=は「昔、家庭で作られていた味に近づけたい」と、材料はジーマーミ(ピーナツ)とでんぷんのみ。曽祖母から受け継いだレシピを守り、早朝3時から大鍋の前に立ちジーマーミ豆腐を作る。お店では、その日作った分を販売する。

ジーマーミ豆腐(1個150円)は、購入してすぐに食べることもできる。プルプルした食感で、落花生の風味が濃厚だ。

以前は料亭やホテルに卸していたが、コロナ禍でダメージを受け、1年前にお店をオープンした。「懐かしい味だね、と言ってもらえるのが何よりもうれしい。多くの方に味わってほしい」

ひいばあちゃんのレシピを受け継ぎ、守ってきた味です!

●9時~なくなり次第終了
●水曜定休

第一牧志公設市場の歴史

市場は戦後、闇市から発展し、1950年にオープンした。写真は1960年代。1972年の本土復帰の年に建て替えられ、老朽化のため2019年に閉場。仮設市場で営業を続け、2023年3月、元の場所に新しい建物が完成した。(写真は那覇市歴史博物館提供)

旧市場の雰囲気残る
市場の1階は、鮮魚店が並ぶ鮮魚ゾーン、精肉店が並ぶ精肉ゾーン、かまぼこ店や漬け物店などの生鮮食品ゾーンに分かれている。2階は食堂で、1階で買った食材を2階の食堂で調理してもらう「持ち上げ」も利用できる。3階には調理体験室や多目的室がある。

お店の人の顔が見えるオープンな造りになっている


鮮魚店には一匹丸ごとの魚や新鮮な刺し身が並ぶ


3階から撮影。バリアフリーで通路は広々としている

取材を終えて
第一牧志公設市場を訪れるのは初めて。観光客が多いイメージだったが、車イスに乗った年配の女性が、「これ1斤」「これは2斤」と豚肉を買っていて、県民の台所なんだなと実感した。

コーヒースタンド小嶺では、映画館帰りに立ち寄った男性に出会った。「やっぱり市場には、これがないと。再開してくれて、ありがとうございます」と、にこにこ冷やしレモンを飲んでいた。

千切り大根と昆布、三枚肉を買い、初めて千切りイリチーを作った。切り干し大根にも種類があって、好みの太さを選べて楽しかった。「お弁当や常備菜にいいよ。コンニャクを入れなければ、冷凍もできる」と粟國さんに聞いた。レパートリーが増えた。
 

『週刊ほ〜むぷらざ』
第1871号 2023年6月15日掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
栄野川里奈子

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編集者
おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

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