欠点は成長の伸びしろ|ドクトルきよしのダイアローグ

精神科医の長田清さんが、人生を豊かにする心の持ち方や、職場や親子の人間関係などについてつづります。

子供のよいところ探し

わが子の将来を心配するあまり、つい弱い点や問題行動ばかりに目がいってしまう親御さんは少なくありません。今回は、心理学の「解決志向アプローチ」に基づいた、視点の変え方と子どもへの接し方についてお伝えします。

親の願いは最初のうち、「ただすこやかに育ってほしい」というシンプルなものです。しかしやがて「賢く、活発に」と欲が出て、習い事をさせたりするようになります。幼児期は親の言うことを素直に聞いていても、学童期に入ると自立心が芽生え、子どもは自分なりの方向へ歩み始めます。ここで親は手出し口出しを減らして見守る方がいいのですが、ほかの子と比べて焦ったり、自分の価値観を押しつけてしまいがちです。欠点ばかりが目につき、それを修正しようと圧力をかけると、子どもは自信・自発性を失っていきます。

では、具体的にどうすればよいのでしょうか。

①問題ではなく「良いところ」「強み」に目を向ける

欠点や問題ばかり見て嘆くより、その子がすでに「できていること」「好きなこと」に注目しましょう。ゲームでも遊びでも、本人が自信を持てる部分を認められると、子どもは安心して前向きになれます。良いところはたくさんあります。

②「当たり前」の行動にも注目する

朝いつもの時間に起きてくる、ご飯を食べる、笑顔を見せてくれる。それらが「ない」状態を想像すれば、普通のことがどれほどありがたいか分かります。

③問題行動を「これから身につけるスキル」と捉(とら)え直す

例えば「すぐ手が出る」という問題を、叱って直させるのではなく、「友だちと話し合いで解決するスキル」に変えて身に付けたらいいと考えるのです。これなら本人も前向きに取り組めます。

④子どもの成長する力を信じる

子どもは自分の欠点を自覚し、自ら直そうとする力を持っています。失敗した時でも「ちゃんとやりなさい」と注意するより、「惜しかったね、もう少しだったよ」と、やろうとした意図を認めてあげましょう。「頑張っているのが見えたよ」と声をかけることで、子どもは自己肯定感を育(はぐく)み、失敗を恐れずに挑戦できるようになります。

親の務めはこのように、「問題」ではなく「達成したいスキル」に焦点を当てること。できないことではなく、ほんの小さな「うまくいっていること」に注目する習慣を持つこと。今日からまず一つ、お子さんの「強み」を見つけて、言葉にして伝えてみませんか。子どもの気になる点は、裏を返せば「これから大きく伸びる余地」なのです。

読者の感想

◆私は10年前に難病を患い入院中、仕事もできず家族にも迷惑をかけている、と自分の存在価値を見いだせなかった時期がありました。絶望の暗闇の中、話を聞いてもらう事で日々の生活を少しずつですが小さな光に向かって進むことができました。先生の「明けない夜はない」「大丈夫ですよ」という言葉が心にしみました。(まるるねこ・62歳)

ドクトル「絶望の闇をくぐり抜けた経験があるのですね。それはあなたの、これから生きる強みになりますね」

◆今の自身の状態を受け入れて「しっかり生きる」という言葉に「希望の光」が見えました。メンタル不調の時には「運動不足」「栄養不足」「睡眠不足」はないか点検します。もう一つ加えるとしたら「御願(うがん)不足」です。御願は「希望」「祈り」だと思っています。それができるのが人間だから「小さな希望」で生き続けられのだなぁと再確認しました。(HOPE・61歳)

ドクトル「『御願』はスピリチュアルな世界への希望(祈り)だから、小さくても念(おも)い(思い)で増幅されるのでしょう」

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執筆者プロフィル

ながた・きよし 2001年に那覇市で長田クリニック(精神科)を開院。心理療法の活動に軸を置く。沖縄いのちの電話理事長。おきなわCAP代表。沖縄エッセイスト・クラブ会長。著書「ドクトルきよしの大ピンチ」ほか多数


毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」ドクトルきよしのダイヤローグ③
第2028号(2026年6月25日発行)より転載