読了時間 約4分
子どもの大学進学のために300万円を貯めた。これで一安心と思っていたら、高校3年生になると予備校代、模試代、オープンキャンパス、受験料と次々とお金が出ていく…。心当たりのある方もいるのではないでしょうか。(文/岡田有里・ファイナンシャルプランナー)
「いつ必要か」を意識する
大学資金が不足する理由
「大学資金は、もう十分に貯まりましたか」。マネー相談でこの質問をすると、「十分とは言えない」と答える方は、少なくありません。
大学の入学金や授業料を考えて、子どもが生まれた時から準備をしてきた教育資金。それなのに、大学に入る前に貯めてきたお金が減っていく。そんな経験をする家庭を筆者は多く見てきました。
教育費は「総額いくら必要か」だけで考えると家計の見通しを誤ることがあります。大切なのは「いつ、何に、いくら使うのか」まで考えて準備することです。
支出が増える高校時代
高校生になると、大学受験に向けた支出が増えていきます。塾や予備校などの補助学習、習い事、部活動などに加え、オープンキャンパスへの参加、受験料、試験会場までの交通費や宿泊費など、さまざまな費用が発生します。文部科学省の「2023年度子供の学習費調査」によると、高校(全日制)の学校外活動費は年間平均で公立が約24万5千円、私立が約34万7千円です。これは学校外での学習や習い事、スポーツ、文化活動などを含む金額で、すべての家庭が同じように支出するわけではありません。
そこで、イメージしやすいようにある家庭を想定してみましょう。ある家庭では大学進学資金として、18歳までに300万円を目標に積み立てています。しかし、高校3年間に予備校などで60万円、習い事で25万円、オープンキャンパスの交通費・宿泊費で20万円、受験料や交通費・宿泊費で30万円の費用を想定すると、大学入学前の支出は合計135万円になります。

もちろん、これはあくまで一つのモデルケースです。実際の金額は、進路や地域、家庭の状況によって異なりますが、「教育資金=大学で使うお金」と考えていると、高校在学中の支出が想定以上に膨らみ、戸惑うことがあるでしょう。
特に気をつけたいのは、これらの出費が同じ時期に重なりやすいことです。高校在学中に支出が重なると、家計からその都度出すことが難しくなり、大学進学のために積み立ててきた貯金を取り崩すことも考えられます。だからこそ、筆者は教育資金を「一つのお金」と考えないことを大切にしています。私自身も高校生の子どもを持つ親として、「高校卒業までに使うお金」と「大学進学後に使うお金」を分けて準備をしています。こうしておくと、高校時代に予想外の支出があっても大学進学後の資金を取り崩さずに守りやすくなります。
少しずつ早めに備える
もう一つ意識したいのが「早めに貯め終える」という考え方です。高校3年生になれば、受験に向けた支出が増える一方で、部活動や進路に関する費用などが重なることがあります。その時期に「教育費が足りないから、今から貯蓄額を増やそう」と考えても、家計に余裕がなくなっているかもしれません。だからこそ、教育資金は高校生になってから慌てて準備するのではなく、支出が増える前から少しずつ備えておくことが安心につながります。
教育費の準備は、金額だけを見ると不安になりがちです。だからこそ「総額いくら必要か」だけでなく、「いつ、何に、いくら使うのか」まで見通しておく。このひと手間が教育費への不安を小さくし、落ち着いて子どもの進路を支える準備につながると感じています。
執筆者プロフィル

おかだ・ゆり/ファイナンシャルアライアンス(株)沖縄支店所属。外資系企業をへて沖縄へ。女性のマネー知識の底上げをライフワークに活動
↓画像をクリックすると、「女性のための無料マネーセミナー」申し込みフォームへ移動します
毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」マネーのヒント!(30)
第2038号(2026年9月3日発行)より転載
