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2024年5月16日更新

「最初にスープ」で 食べ過ぎ防ごう!|続けてハッピー‼︎健康習慣②

沖縄県によると30~50代の働き盛りの男性の5割が肥満。予防・改善にはカロリーオーバーにならないよう食事量をコントロールすることがポイント。肥満の要因と食べ過ぎを防ぐ工夫を専門家に聞きました。

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「最初にスープ」で 食べ過ぎ防ごう!

かさを減らしてたっぷり食べる
食物繊維で糖の吸収ゆるやかに


沖縄県によると30~50代の働き盛りの男性の5割が肥満。予防・改善にはカロリーオーバーにならないよう食事量をコントロールすることがポイント。肥満の要因と食べ過ぎを防ぐ工夫を専門家に聞きました。
 



食物繊維とって 食事量を適切に

田仲医院院長の田仲秀明医師は「強い依存性がある動物性脂肪の取り過ぎは肥満につながる。依存性の緩和効果が期待できる玄米食は肥満予防の一つの方法」と説明する。県栄養士会理事の山里瑠美さんは「食事の最初に食物繊維が豊富な野菜をしっかりとると満腹感が得られやすく肥満予防につながります。かさを減らしてたっぷり食べられる野菜スープで食べ過ぎを防ぎましょう」とアドバイスした。

 

肥満予防のポイント
①強い依存性がある動物性脂肪は食べ過ぎに注意
②吸収が早い単純糖質(砂糖・果物など)は控えて
③食べ過ぎを防ぐため、食事の初めに野菜をしっかりとろう


ドクターから

医療法人 秀明会 田仲医院
院長 田仲秀明さん


動物性脂肪に強い依存症

県民の肥満の要因の一つは、揚げ物やランチョンミート、ファストフードなど動物性脂肪の取り過ぎ。厚労省のデータでも総摂取エネルギーに占める脂肪の割合は全国平均より高く推移している、と田仲医師は指摘する。動物性脂肪には強い依存性があり、取り過ぎると食欲に関わる脳の報酬系や視床下部に悪影響を与えて、動物性脂肪をとっても満足しにくくなっていき食べ過ぎてしまうという。

糖質の取り過ぎも肥満の要因になる。なぜなら、急激に上がった血糖値を下げるために大量のインスリンが分泌されると、余った糖質(ブドウ糖)を中性脂肪として蓄積する働きが高まるからだ。特に砂糖(ブドウ糖と果糖が結合)などの単純糖質は、ごはんなどの複合糖質に比べて吸収が早いので要注意。

また、砂糖や果物に含まれる果糖にも注意が必要だという。田仲医師は「果糖は、中性脂肪になりやすく肥満の要因に。肝臓に脂肪として蓄積して脂肪肝のリスクも上昇します。特に清涼飲料水やアイスクリームには、ブドウ糖より果糖の割合が多い甘味料『果糖ブドウ糖液糖』が入っていることが多いので取り過ぎに注意しましょう」と呼び掛ける。

肥満予防の一つとして田仲医師が推奨しているのが玄米食。「食物繊維が豊富な玄米は白米に比べて吸収がゆるやか。また、近年の研究では、玄米に含まれるγ(ガンマ)オリザノールという成分が脳の報酬系と視床下部に働きかけて動物性脂肪への強い欲求を軽減し、依存性を緩和させる効果があることが分かっています。1日1食は玄米食に置き換えるといいでしょう」

 
①玄米は味が落ちやすいので、鮮度を保つために常温で保存しない。長期保存するなら15℃以下で

②炊飯器で保温すると味が落ちやすいので、炊きあがったら小分けにして(1食分150㌘)冷凍保存し、食べる時にレンジで温める。「毎朝、レンジで温めて卵かけごはんにしたり、納豆と一緒に食べています」と田仲医師


 

管理栄養士から

沖縄県栄養士会 理事
栄養ケア・ステーション担当 山里瑠美さん


脂質のカロリー、たんぱく質・炭水化物の倍

食べ過ぎによるカロリーオーバーを防ぐのが肥満予防の原則。そのためには適切な食事量でも満腹感をしっかり得られるようにするのがポイント、と山里さんはアドバイスする。食事を始めてから脳が満腹感を感じるまでに15~20分はかかるといわれていて、早食いは避けてゆっくり食べると満腹感が得られやすい。また、よくかんで食べることも満腹感が得られやすくなる。

山里さんは「主食と主菜をとる前に、食物繊維が豊富な野菜などの副菜を多めにとると食べ過ぎを防ぐことにつながります。かさを減らしてたっぷり食べられる具だくさんの野菜スープがおすすめ」と話す。上記に作り置きできる野菜スープの作り方を紹介しているので献立の参考にしてみて。

三大栄養素であるたんぱく質、脂質、炭水化物のうち、脂質は1㌘当たり9㌔㌍と、ほかの二つに比べて同じ量でも倍以上のカロリーがあるので脂質の取り過ぎは太る要因になるという。「三大栄養素の摂取バランスの理想は、たんぱく質が13~20%、脂質が20~30%、炭水化物が50~65%と言われています。ビタミンも一緒にとるとエネルギー代謝がスムーズになる。バランスよく食べるためにも日々の献立で主食(炭水化物)、主菜(たんぱく質・脂質)、副菜(ビタミン・ミネラル)を意識して、一食でいろいろな食材を食べることが大事です」


作り置きできる野菜スープで
手軽に食べられる

①お好みの野菜を食べやすい大きさに切り、鍋で煮る。この時、かみ応えを残すため軟らかく煮過ぎないのがこつ。旬の野菜は栄養価が高いのでおすすめ

②多めに作ったらその日食べる分だけ鍋に取り分けて、みそやコンソメ・コーンスープなど好みの調味料やスープの素で味付けする

③残りのスープはしっかり冷ましてから冷蔵庫に保存。食べる時に鍋から取り分けて、味付けして食す。3日間くらいは冷蔵庫で保存できるが、なるべく早めに食べきろう



●管理栄養士の山里さんおすすめの食材は、食物繊維が豊富なごぼうなどの根菜類やしめじなどのきのこ類、こんにゃく


夏は旬のオクラや冬瓜
豆乳でたんぱく質補給



これから暑くなってくる夏場におすすめなのは、食物繊維が豊富なオクラをはじめ、冬瓜、ヘチマなど旬の沖縄野菜。 「冷製スープにしてさっぱりいただくのもいいです。夏は食欲が落ち、食事が炭水化物に偏りがちになるので、スープに豆乳を加えるとたんぱく質も補えます」と山里さん。
 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇


■ビタミンが代謝をサポート
ビタミンは健康な体を維持するだけでなく、エネルギー代謝を助ける役割を持つ。糖質や脂質、たんぱく質を効率よくエネルギーに変える手助けをするのがビタミンB1・B2・B6、ナイアシンなどのビタミンB群。管理栄養士の山里さんは「例えば豚肉は糖質をエネルギーに変えるのを助けるB1が豊富に含まれています。また、B1には疲労回復をサポートする働きもあります。ただし、それだけ食べたらいいというわけではなく、肉や魚、野菜、いろいろな食材を食べてバランスよく栄養素をとるようにしましょう」と呼び掛ける。

■脂質が多い食品を食べたら
脂質の多い食品の一例として挙げられるのがひき肉。特に合いびき肉に多いという。合いびきではない、牛や豚、鶏のひき肉の方が脂質を抑えられるそう。管理栄養士の山里さんは「沖縄そばも意外と脂質が多い。脂質が多い食事を食べるなら、前後の食事でバランスをとるといいでしょう。例えば、朝は納豆とみそ汁、夜はお刺身とサラダにするなど。植物性たんぱく質である豆腐もいいですよ」と提案する。


取材/池原拓
毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」続けてハッピー‼︎健康習慣②
第1919号 2024年05月16日紙面から掲載

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