ビューティー
2016年6月23日更新
特別講座「ジャパンビューティーと老化」より|教えて!ドクター当山<181>
当山美容形成外科は5月29日、特別講座を那覇市内のホテルで開催した。「ジャパンビューティーと老化」と題して自由が丘クリニック理事長の古山登隆氏が、「見た目はカラダの鏡」と題してアオハルクリニック院長の小柳衣吏子氏が講演。会場に詰めかけた参加者130人は、最新の治療法とその症例、目からウロコのトピックスに熱心に耳を傾けた。講演のポイントをまとめ、主催した當山護院長に講座の目的を聞いた。
注入術とウェルエイジングで美しく
ボリューム補い「影を消す」時代へ
古山登隆氏(自由が丘クリニック理事長)
美に基準はあると思いますか?
7年前、注入剤のボトックスで有名なアラガン社と、白人、黒人、黄色人種も含め美しいと言われる1200人のデータを元に探ってみました。その結果、「正面から見た際のフェースラインがハート形や卵型を描き」「横から見た際、額や頬など顔の輪郭が美しい曲線を持ち」「顔の真ん中に目や鼻、口などのパーツがバランスよく配置されている」、これが美しさの基準だと分かってきました。
では老化とはどういう状態か? 具体的にはボリュームが減って固くこわばり、色むらが出てバランスも崩れること。これは顔でも同じです。ですから、美しくなるには、①若々しい輪郭の②良い位置に③キレイなパーツと④キレイな曲線が⑤シンメトリーにある顔を目指せばいい。これにはボトックスやヒアルロン酸などの注入療法がとても効果的です。
ボトックスは筋肉をリラックスさせ、上下に引っ張る力を加減することができる注入剤。額や眉間のシワ、カラスの足跡を目立たなくし、口角を上げたり、下あごのちりめんジワや笑うと歯茎が出るガミースマイルの解消、フェースラインを変えることもできます。
ヒアルロン酸はボリューム減に対して用いるもの。注入の仕方も、単にシワを消していた時代からボリュームを出す時代に移り、今はいかに顔の影を消すかがポイントとなる時代に突入しました。例えば、ほうれい線など口元に影が出るのは、こめかみや頬骨のボリュームが落ちたことが原因。ですから、ほうれい線だけでなく、上顔面、下顔面の適切な箇所に、適切な量を注入することが重要です=上イラスト。特に額やこめかみ、頬が平たくなってきたら要注意。そこから影ができ、ボリュームが減ることでたるみやシワにつながるのです。
日本では、変化があからさまに分かる施術は、流行りません。その人の持つ美しさを生かしつつ、いかに整えるか、それをどれだけさりげなくやるかが日本の美容形成外科医に求められており、今後の治療の方向性だといえます。
顔の影(青線)を消すには、注入剤をこめかみや顔の中央、口元にバランスよく注入するのが重要(自由が丘クリニック提供)
日本人的美しさや、最新の注入術について分かりやすく話す古山氏
見た目はカラダの鏡
小柳衣吏子氏(アオハルクリニック院長)
老化を食い止めることはできませんが、遅らせることはできる。アンチよりウェルを目指すのが、私たちの提案する「ウェルエイジング」です。
日本では見た目についての話はタブー視されがちですが、実は見た目と内臓の状態がリンクしているというのは、さまざまな研究機関から報告されています。つまり見た目を美しく保つ=老化を防ごうと気を付けて生活すれば、体の健康維持にもつながるということ。見た目はカラダの鏡なのです。
ポイントは、老化の5大要因である①酸化②糖化③炎症④女性ホルモンの減少⑤紫外線を防ぐ生活です。
まず酸化。私たちが1日に取り入れる酸素のうち2%は老化現象を引き起こす活性酸素に変わってしまいます。そこでおススメなのが、カルテノイドやポリフェノールが含まれた緑黄色野菜や抗酸化サプリを摂取すること。入れたてのコーヒーにも美白作用のあるポリフェノールが豊富に含まれています。
また糖分の取り過ぎは肌の弾力を失わせ、たるみを引き起こす原因に。食事の際は野菜や海草類から食べたり、主食を血糖の上昇に関わるGI値が低いものにして、余計な糖分が急激に吸収されるのを防ぎましょう。オススメは大麦。玄米の4倍の食物繊維が含まれており、血中コレステロール値を正常化する働きもあります。抗糖化化粧品の使用や運動もいいですね。
炎症=痛いと思いがちですが、実は自覚症状がないまま全身の臓器で起こっています。肌の乾燥は炎症症状の一つでシワやたるみの原因に。十分な保湿を心掛けましょう。女性ホルモンは、サプリメントで上手に補って。
光老化の影響=上写真=を防ぐ紫外線ケアも重要。シワ、たるみの原因となるUVAや、シミ、乾燥を引き起こすUVBを防ぐ日焼け止めの2度塗りを習慣にしましょう。
老化対策に遅過ぎることはありません。ご紹介した生活習慣と併せ美容外科を上手に活用し、体の中からキレイに、見た目の美しさも保ちましょう!
長年トラックの運転手だった米国人男性。窓のあった左の老化が著しい(アオハルクリニック提供)
自身のケアなども交えつつ話す小柳氏
講座を終えて
最新情報得て賢い消費者に
當山 護 氏
当山美容形成外科 院長
今回のような特別講演会は、当院では毎年行っているもの。国内外の第一線で活躍する先生方から最新の治療法や症例、トピックスをじかに見聞きすることで、ちまたに氾濫する情報に惑わされない賢い消費者になっていただきたいと願うからです。
インターネット社会の現代では、例えば二重の施術にしても「腫れない!」などキャッチーな言葉が躍リ、クリニックをランキングするサイトまで登場しています。ただし美容外科は医療であることを考えれば、リスクが伴うのは当然のこと。安全性を確保しつつ、患者さんの希望はもとより、骨格や肌質、体質、ライフスタイルまでを考慮し、より効果的な施術を行うには、フェイスtoフェイスでの相談が欠かせません。仕上がりイメージのすりあわせなど微妙な部分は特にそう。予算面なども含め、気になる点はお気軽にご相談を!
NEWS「3代目」つながる美容医療の道
当山美容形成外科では、ことし4月より當山護院長の長男で美容外科医の當山拓也氏を副院長として迎えた。拓也氏は同院の3代目で今後は當山院長とともに親子で協力しながら、沖縄の美容外科分野の発展を目指し、取り組みを続けていく。
當山院長は「県外で技術を磨いてきた息子とともに沖縄ならではのやり方を考え、尽力していきたい。技術はもちろん、経営の面でもよく話し合い、次の世代にバトンをつなげたい」と話した。
當山院長(左)と拓也氏 (当山美容形成外科提供)
<過去記事一覧>
『週刊ほーむぷらざ』 教えて!ドクター当山<181>・第1510号 2016年6月23日掲載