トルコで感じた人の温かさ −東西の文化が出合う街−|沖縄人の世界一周

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ヨーロッパとアジア、ふたつの大陸にまたがるトルコの首都、イスタンブール。石畳の路地の向こうには壮麗なモスクがそびえ、オスマン帝国の栄華を物語る建築が街の至るところに残っています。市場の香辛料の香り、海風を運ぶボスポラス海峡の光景―。東西の文化が混ざり合うこの街には、独特のエネルギーが漂っていました。(文・写真/旅する沖縄人)


街を歩けば、歴史と日常が自然に溶け合っていることに気づきます。早朝、まだ人の少ない時間に訪れたスルタンアフメト・モスクでは、ステンドグラスの窓から差し込む柔らかな光が礼拝堂を静かに満たしていました。その光を浴びていると、忙しい日常とはまったく違う時間が流れているように感じられます。

朝の光が神々しいスルタンアフメト・モスク

また、海にかかるガラタ橋では、多くの人が並んで釣り糸を垂らしています。橋の下には香ばしい匂いを漂わせる屋台が並び、焼きたてのサバをパンに挟んだ名物のサバサンドを頬張ると、潮風とともにこの街らしい素朴なおいしさが広がりました。

ムール貝にリゾットを詰めたミディエドルマ

トルコランプが美しい

印象的なバスの出来事

イスラム文化圏を訪れるのは、私たち家族にとって初めての経験。正直なところ少し緊張もありましたが、その不安は思いがけない形で覆されます。

ある日、ローカルバスに乗ったときのことです。ICカードを利用したかったのですが、車内は満員で決済機までたどり着けません。すると乗客1人が私たちのカードを受け取り、前方へ手渡しました。カードは何人もの手を経て決済機へ届き、再び手元へ戻ってきました。誰1人としてカードを持ち去ることはなく、見知らぬ乗客同士が自然に協力している姿に驚かされました。

さらに、降りようとする年配の女性に妻が手を差し伸べると、彼女は胸に手を当て、深く感謝の言葉を伝えてくれました。その姿から、思いやりが日常に息づいていることを感じました。神への信仰を軸に善悪を判断すること、年長者や子どもを社会全体で大切にすること。そんな価値観が、人々のふるまいに自然に表れているように思えました。その姿に、沖縄の人々を思い出します。地域で子どもを見守り、年長者を敬う文化は、遠く離れた場所でも通じるものがあるのかもしれません。

少し遠い存在に感じていたイスラム文化への印象が、この瞬間に柔らかく変わりました。同時に、沖縄の人の優しさにも改めて気付かされた気がしました。  歴史の重みと人の温かさが共存する街、イスタンブール。旅先では壮大な景色に心を奪われることもありますが、本当に記憶に残るのは、ふとした人の優しさなのかもしれません。そんな旅の本当の魅力を静かに教えてくれる、心に残る時間となりました。

神秘的な地下宮殿

執筆者プロフィル

インスタグラム @okinawan_travel

1977年、沖縄生まれ。教員を経て独立。2023年5月から世界一周。6月に「50歳までのアフリカ旅のすすめ」を電子書籍、ペーパーバックで出版。他著に「夢をあきらめない40代からの世界一周のすすめ」、「EXPLORE the World 世界一周の歩き方」メキシコ編、キューバ編


毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」沖縄人の世界一周(7)
第2020号(2026年4月30日発行)より転載