空間に余白をつくる|50代から人生を軽く 片付けコンサルタント根原典枝の人生整理術

整理収納をサポートする根原典枝さんが、人生を軽くするための心持ちをつづります。空間の余白を大切にしている根原さん。そこから生まれてくるものとは—。


「部屋は、自分を映す鏡」。

よく耳にする言葉ですが、50代になった今、その意味を以前よりも深く感じるようになりました。若い頃は、多少無理をしても「頑張れば何とかなる」と思えました。睡眠不足でも動ける。予定を詰め込んでも乗り切れる。

でも50代になると、そうはいきません。少し仕事を詰め込み過ぎただけで、夕方には何もする気が起きず、気づけば部屋もあっという間に散らかっています。そんな部屋を見ると、「今日はよく頑張ったね」と、部屋が私に話しかけてくれているような気がします。

だから私は、まず体を休ませることを優先して、最低限の家事を済ませたあとはひたすら眠ります。そして元気が戻ったら、今度は私を優しく見守ってくれた部屋へ恩返しをするような気持ちで、お掃除をします。

窓を開けて風を通す。
ゴミを捨てる。
掃除機をかける。
テーブルを整える。

すると、不思議なくらい心まで軽くなっていくのです。私は、お家とは「住む場所」というより、「人生をともに歩む相棒」だと思っています。自分が疲れたときは、お家が静かに受け止めてくれる。元気になったら、今度は私がお家を整える。そんなふうに、お互いを思いやり、支え合いながら暮らしているような感覚があります。

以前、京都・大原三千院を訪れたときのこと。一面に広がる美しい庭園を、僧侶の方が静かに手入れされている姿を見て、「なぜこんなにも心が落ち着くのだろう」と考えました。

そのとき気づいたのは、神社やお寺が最初から特別な力を持っていたのではなく、何百年、何千年という長い年月、多くの人が毎日丁寧に掃き、磨き、大切に守り続けてきたからこそ、人の心を癒やす場所になったのではないかということでした。

パワースポットとは、特別な場所というだけではなく、大切にされ続けた時間が生み出した空間なのかもしれません。

そう考えると、私たちの家も同じです。毎日少しずつ整え、感謝を込めて磨く。すると家は、世界で一番自分を癒やしてくれる場所へと育っていくのではないでしょうか。

心が喜ぶものに囲まれて

私は、空間に余白をつくることを大切にしています。今の自分に本当に必要なものだけを残し、一つひとつ心が喜ぶものだけに囲まれて暮らす。

床にもテーブルの上も余白があれば気持ちいい。窓を開けるとスーと風が通り抜ける瞬間も気持ちいい。淹れたてのコーヒーの香り、観葉植物に水やりをする瞬間に幸せを感じる。

そんな空間には、不思議と心にも余白が生まれます。余白がある空間は、自分自身を大切にすることにもつながっています。50代は、頑張り続けることよりも、自分を大切にいたわりながら、持続可能な暮らしを選ぶことが大切な年代です。

だから私は、お家を愛でるように暮らしたいと思っています。自分自身の相棒であるお家を丁寧に磨き、今の自分に本当に必要なものだけを持つ。そうして心が喜ぶものに囲まれて暮らすことで、心は軽くなり、足取りも軽くなる。

空間に余白をつくることは、人生に余白をつくること。今日も私は、お家という相棒に「ありがとう」と伝えながら、1日を始めたいと思います。

執筆者プロフィル

ねはら・のりえ/1972年うるま市出身。2010年に片付け・掃除で悩む人をサポートする(株)暮らしかたらぼを設立。
電話 080(2731)8883
https://kurashikata.co.jp

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毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」50代から人生を軽く(4)
第2031号(2026年7月16日発行)より転載