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看護師で介護支援専門員の資格も持つディロング直美さんが、父親を家族で13年間在宅介護した経験をつづります。(文/ディロング直美 「家族介護のwa」代表)
本人の意思決定を根気強く促す
2度目の自宅介護は、主に介護を担っていた母の心労や持病の変化、体調不良により、やむを得ず2カ月で終わりました。父の体調は落ち着いていたので、いったんサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)に入居しました。
サ高住とは、専門スタッフによる安否確認と必要な介護ケア、生活相談のサービスが受けられるバリアフリー構造の賃貸住宅です。デイサービスや訪問介護、訪問リハビリ、訪問診療も併用し、病院が併設されていたので必要な時は受診もできました。医療的なケアが必要な父には、安心して療養できる環境でした。
母は「長い間、家に帰れなかった父をやっと自宅に迎えたのに、自分の体力が至らず、また施設での生活に戻らせてしまって申し訳ない」と話していました。
でも重介護になり、胃ろうや経管栄養など医療的なケアが必要になった父を、たとえ2カ月という短い期間でも自宅で介護できたのは、その後の状況を考えると貴重な体験になったと思います。
心配症の母は毎日のようにサ高住へ面会に行き、私が仕事帰りに迎える生活が始まりました。
繰り返す合併症
脳梗塞で倒れ突然介護が始まってからこれまで、父が繰り返し発症していたのが「せん妄(もう)」や「誤嚥(ごえん)性肺炎」「尿路感染症」「腸閉塞」などの合併症でした=下表。

高齢者は元々複数の持病がある人が多く、入院という「いつもと違う環境」や「動かない時間」が重なることで、こうした合併症が起きやすくなるのです。
ご家族が入院する、あるいは入院中の場合は、主治医や看護師から「想定される合併症のリスク」と「その予防策」について事前にしっかりと説明を受けておく事が大切です。これから起こりうる状況や状態を前もって知っておくことで、異常の早期発見につながりますし、ご家族も心構えができて、落ち着いて対処しやすくなります。
父の場合は、私が看護師でそうした知識があったため、自宅介護中も病院や施設にいる間も、排便状況を観察して便秘対策をし、咳や痰の状態、発熱などから体調の変化に気づくことで、必要な対処につなげることができました。
「人生終わればいい」
こうしてサ高住での生活が1年を迎える頃、父が吐くようになり、その量が大量になったため、かかりつけの病院に受診しました。検査の結果、腸閉塞と診断。以前から腸閉塞を繰り返していたことで完全に詰まってしまい、今回は、手術しなければ命に関わると説明を受けました。
父にも説明し、手術を受けるように勧めましたが「今更、手術なんか受けなくてもいい、それでダメなら人生終わったらいい」と手術を受けようとしませんでした。
確かに脳梗塞を発症してから2度目の手術になるので、高齢の父にとっては不安も強く勇気のいることだったと思います。ですが、手術を受けなかったらおなかの中で腸が破れ、便が漏れ出して感染症を起こし、強い腹痛で苦しくて大変なことになると説得。孫たちも「頑張って手術を受けて長生きしてほしい」と励まし、父本人の意思決定を促すことで、なんとか承諾し手術を受けました。
手術は成功し、術後の経過が安定したタイミングで、今度は老人保健施設へ入所。父の自宅介護で体調を崩していた母も、父がサ高住で過ごした1年の間に回復し、私も一安心でした。
こうして父も母も復活し、毎日の面会が日課になる生活が再開。面会の際に好きな音楽を聴きながら笑顔でおしゃべりしている様子や、母が帰る時に寂しそうにする父を見て、私は3度目の自宅介護を考え始めました。
執筆者プロフィル

でぃろんぐ・なおみ/看護師。亡き父を13年間介護。2023年「家族介護のwa」設立。「ワクワク介護叶(かな)え隊」の翁長久仁子さんと共に介護の悩みを話し情報交換できる「介護の語り場」開催中
毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」13年間の在宅介護日記(7)
第2043号(2026年10月8日発行)から転載