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2019年3月14日更新

[彩職賢美](同)喜納農場代表の喜納忍さん|養豚の未来を開く

35年以上かけて研究した独自配合飼料や飼育方法で「紅あぐー」「紅豚」というブランド豚を飼育する喜納農場。喜納忍さん(36)は、そのおいしさを伝え広め、祖父、父と受け継がれた農場を発展、成長させたいと、2018年4月、農場を法人化し代表に就任した。細やかな視点で環境づくりに取り組み「未来のある養豚経営」を目指す。

「幸せな農家」目指し法人化

(同)喜納農場
代表

喜納忍 さん

「よしよし。大丈夫よ」。取材日、カメラを見てブヒーッと驚く子豚に、声を掛け抱く姿は優しいお母さんそのもの。子豚も喜納さんの胸に顔をうずめ、頭をなでられると次第に落ち着きを取り戻した。

「豚は神経質」という。「おいしい豚肉をつくるためには、豚が安心して快適に過ごせる環境と飼料がとても大事。それによって味も大きく変わる」と喜納さん。創業65年、ブランド豚の飼育では35年以上も研究を重ねてきた農場の一員として言葉に自信がみなぎる。

「農場が生き残るためには安定した生産、経営管理、ブランディングが必要」と、法人化以降は農場の成績を数値で示し、定期的にミーティングを行うなどして経営状況を全従業員で共有、意見を出し合う。「みんなが、こなすだけの作業から農場の生産性を向上させるための仕事として携わるようになりました。豚の体重や餌の量なども数値で把握し、各自が積極的に動いていて、すごく頼もしい」と変化を喜ぶ。

「養豚業は苦労も多いけど、農場のみんなが働くことに意義を感じながら毎日を過ごし、家族との時間や自分の時間をしっかり持てるようにしたい。目指すは幸せな農家」。農場にばかりいた父と過ごせず寂しい思いをした幼少期の経験や、養豚業は休めずきついというイメージばかりが先行し、人手不足に悩む業界の課題を打開したいという思いも抱く。


「小さいころは父の実験の手伝いばかりだった」と振り返る。ブランド豚「紅あぐー」「紅豚」を開発した父憲政さんは職人気質で朝から晩まで豚のことを考え、研究、実践に取り組んでいた。その姿は「今も変わらない」と笑う。周りからの信頼は厚く、評判を聞いて県外からも多くの人が訪ねてくる。そんな父と、父が作る豚肉が自慢で、小学生のころには農場を継ぐと決めていた。大学卒業後、就農した喜納さんだが「会社に就職した周りの友達が華やかでうらやましく、養豚が嫌になって」農場を離れた時期もある。

その時、「紅あぐー」と「紅豚」を加工販売する専門店(株)がんじゅうの桃原清一郎社長から「養豚の経験を生かし、営業としてネットショップを担当してみないか」と誘われ入社した。

がんじゅうは、国内で初めて豚肉のトレーサビリティーシステムを導入。生産から販売まで一貫した管理のもと、消費者に責任を持って品質を保証することがブランド豚として不可欠という父の願いからだった。各商品に貼られたラベルの番号を入力すると、生産者、品種、と畜場名、飼育情報などを見ることができる。

システムによって農場から食卓までのルートが明確になり、利用者からの声も直接、農場へ届く。その声に「改めて父の豚肉のすばらしさを実感した」という喜納さん。結婚、出産で退職後、再び農場に戻り、現在は「養豚のプロを目指し修行中」と笑顔で語る。

「豚肉にかける父の思いとともに、子どもにも安心、安全でおいしい豚肉を届け、幸せな食卓づくりに役立ちたい」 

娘として、母として、代表者として、胸に自信と誇りがある。



子豚の成長を願い手作り

喜納さん提供

豚舎内では常に清潔で豚の過ごしやすい環境の維持を心掛けており、手作り道具も含め、さまざまな工夫がされている。

その1つが子豚の飼育スペース。豚は生後30日間、母乳で育つが、母豚の快適温度が23度なのに対して、赤ちゃん豚は40度。そこで、手作りの授乳期用保温箱を作成。赤ちゃん豚は授乳が終わると自ら暖かいスペースへ移動している。また、離乳後の子豚は床マットと換気扇が完備され、室内外を自由に行き来できる「とんとんハウス」で飼育。四季を通じて快適に過ごしながら育つことができる。


かけがえのない仲間


喜納農場では年間3000頭を出荷。常時2500~3000頭を飼育しており、毎日、喜納さんと両親、2人の兄弟と4人の従業員が豚の観察、餌の調整、豚舎の清掃、気温、空調にも配慮しながら、こだわりの餌、飼育法で管理している。「私の大切な仲間」と信頼と愛情を注ぐ。


喜納さんのハッピーの種

喜納さん提供

Q.幸せを感じる時間は?
家族で過ごす時間です。アウトドアが好きな夫の影響で先日、初キャンプをしたのですが、子どもたちも喜んで、とても楽しく過ごせました。法人化してからはとても忙しい日が続いているので、いつも応援してくれ、家事や育児も協力してくれる夫に心から感謝しています。

喜納農場
098‐979‐5651



PROFILE
きな・しのぶ

1982年、うるま市生まれ。名桜大学卒業後、実家の養豚農場に就農。3年後、農場で得た経験を販売に生かそうと「株式会社がんじゅう」のネットショップ「おきなわ紅豚ネットショップ」の店長を務める。2013年、結婚し、翌年、退職、出産。その後、再び実家の農場に就農し、18年、合同会社喜納農場の代表に就任。「幸せな農家」という目標に向かって奮闘中。2児の母。


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撮影/比嘉秀明 文・赤嶺初美(ライター)
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1329>
第1650号 2019年3月14日掲載

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