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2019年1月17日更新

[彩職賢美]沖縄県警察本部 警部 生活安全部少年課 少年サポートセンターの大城美喜さん|全力で向き合う 

大城美喜さん(50)は、県内で2人の女性警部の一人。制度の見直しで28歳に交通巡視員から警察官になった、異色の経歴を持つ。モットーは、「警察が関わったことを後悔させない」。「警察は、人生最大のピンチに立ち会うことも多い。例え望む結果を得られなくても、いい方向にかじを切れるよう、背中を押す存在でありたい」。全力で被害者に向き合う。

関わったこと後悔させない

沖縄県警察本部 警部
生活安全部 少年課 少年サポートセンター

大城美喜 さん

刑事課で、初めて関わった性犯罪の被害者。部屋に入った時の第一印象が、「時間が止まっている」だった。段ボール箱が無造作に積まれた、生活感の無い部屋。「10代で、すさまじい体験をして、誰にも言えず、犯行現場になった部屋でどう生活していたんだろう」

最初は表情が無く言葉少なだった彼女が、カウンセリングを受けて少しずつ話をし、笑うようになった。「一念発起して勉強し、希望の進路へ進んだんです。つらい思いをしている被害者への対応は、被害者の次の一歩に関わる。最初に対応する女性警察官の責任は、重い」

目撃者のいない性犯罪は、特に慎重な捜査が求められる。被害者から被害状況を丹念に聞き取り、証拠を採取する。「話しやすい雰囲気じゃないと証言は得られないし、証拠採取の技術も必要。聴取でも、一歩間違えばセカンドレイプとなり、致命傷を与えてしまうことさえある」

刑事課での経験は、大城さんを変えた。「警察を必要としている人のために、最大限できることをしよう」

視点は常に被害者だ。「全力で向き合っても、状況に合わせた対応ができず、つらい思いをさせた方々がいます。だからと言って、あきらめるわけにはいかない。一人でも多くの人を支援したい」

まっすぐな思いは終始一貫。「『ちゃんと』が、口癖です」と笑う。どこの部署でも、ハードな仕事を率先した。それは、性犯罪の被害者との関わりで、「つらい現場ほど、警察の意義がある」と痛感したからだ。よく笑う今の姿からは想像できないが、「自分へも人へも厳しかった」。

1975年から16年、沖縄で女性警察官の採用は無かった。男性社会で、「人の1.5倍は頑張らないと」とバリバリ働き、昇任。そんな中で「ポキッと折れた」のは48歳だった。



警部に昇任するため東京の警察大学で学び、意気揚々。警察署交通課長としてハードだったが充実していた時期。体調を崩したのは、予想外だった。「体は動くのに、思考が止まる。なぜ経験のある仕事でつぶれるのか。どん底だった」。辞めることも考えたが、しばらく休職した。

その後、復職。休んだことで、考え方も変わった。「仕事一辺倒だと、成果は上がっても、つぶれてしまう。常にシビアなのは悪循環だなと。自分に甘く、人に寛大になりました。以前のままだと、部下が音を上げていたかもしれません」

現在は、非行や不良行為などの問題行動に走る少年の立ち直り支援や、その保護者を支える少年サポートセンターに所属する。「スタッフが子どもたちに全力投球できるように、環境を作るのが私の仕事です」

自身も家庭環境が厳しく、周りに助けられた。「私がぐれなかったのは、必要な時に学校の先生や近所のおばちゃんのさり気ない支援があったから。警察官は、ターニングポイントで子どもたちに携わることができる」

大城さんには、娘が2人いる。育児休暇は2人合わせて約3カ月。夫も警察官で、義父母のサポートに助けられた。「両立はできていないんです。家族に大きな負担をかけた。だからこそ、仕事はいい加減にしたらいけない、とずっと思ってきた」。そんな母を見てきた長女は、警察官になった。「徹して良かったと思いました」。涙がこぼれた。


もらった手紙は宝物

「原動力は関わってきた方々」という大城さん。宝物は、もらった手紙だ。「ちゃんと関われたのは、数人です。限界はあるし、できることも少ないけれど、それでも自分としてできることは精いっぱいやった、という感覚になれるかを大事にしてきた」と話す。


オフはライブでフィーバー!

大城さん提供

「オフはライブでフィーバーします」と大城さん。70年代のディスコ、80年代のポップスをメーンにしたライブ演奏を楽しめるライブハウスに足しげく通っている。「休職前は遊ぶのは悪、ぐらいに思っていたけれど、オンオフは大事。遊ぶときは遊んで、仕事は仕事で集中しよう、という考え方に変わりました。ここ1年、家族でカラオケにもよく行きます。十八番は『前々々世』と、フォークです」


大城さんのハッピーの種

大城さん提供

Q.幸せを感じるのは、どんな時?
ポメラニアンのうどんちゃんは、4年前から飼い始めました。長女がいなくなって、次女も家にいないことが増え、寂しくなったのがきっかけです。「キツネに似ている」と長女が名づけました。すっごくやんちゃで、飛び跳ねて着地に失敗して骨折したこともあるんですよ。私の休職期間中は毛が抜けちゃって、ストレスを吸い取ってくれたのかもしれません。復職後は毛が生えるようになって、獣医師にも驚かれました。



PROFILE
おおしろ・みき

1968年那覇市出身。1987年豊見城高等学校卒業後、沖縄県警察職員(交通巡視員)に。1996年制度が見直され、警察官になる。那覇警察署刑事第一課、嘉手納警察署警務課留置管理係で女性専用留置施設の開設、警察学校での教官を経て、少年サポートセンター勤務。夫、長女、次女の4人家族。


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今までの彩職賢美 一覧


撮影/比嘉秀明 編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1323>
第1642号 2019年1月17日掲載

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栄野川里奈子

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編集者
おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

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