本村ひろみ
2018年4月1日更新
キラメキの中にいる|本村ひろみのコラム
フリーパーソナリティーの本村ひろみさんが、暮らしを楽しむアンテナを巡らせて日々の沖縄・風景をレポートします。
fun okinawaコラム「おきなわ 暮らし散歩 Vol.41」
少し伸びた庭の芝が気持ち良さそうに風に揺れているので
サンダルを脱いで裸足(はだし)で歩いてみる。
ヒンヤリ
足のうらに感じる春の鼓動。
名も知らぬ小さな黄色い花、シロツメクサ、タンポポ。
踏まないようにソッと動くと
足をあげたそのあとから青々とした芝が立ちあがって
あたり一面に草の匂い。
そこ、ここに何かがうごめいている。
この時期、取材で行く文具店は
新学期のキラメキにあふれていてなんだか胸キュン。
「新入学おめでとう」の文字
新しいノートや万年筆、単語帳に蛍光ペン
クラス替えも進学も関係ないけど思わず手にとってみる。
新しい教室、新しい仲間
この春高校2年になる甥(おい)から
新しいクラスメートとの写真がLINEに届いた。
制服姿の笑顔がまぶしい。
クラス替えの発表を待つ
まるで神様に願いごとをするように友人と手を握りしめて
隣のクラスになるだけでも永遠の別れのような気分で
校舎にひびく歓声と涙声に包まれた運命の瞬間
4月になると繰り返されてきた光景
あの時のドキドキは間違いなく青春の鼓動だった。
ところで青春といえば
先日ビデオで見た『セトウツミ』がこのところマイブーム。
大阪の男子高校生、瀬戸と内海が放課後の川辺で
たわいもない会話をするストーリー
ほぼ無駄話だけで過ぎていく日々が懐かしい
ダブル主演の池松壮亮と菅田将暉はクラスメートの誰かに似ている。
二人の掛け合いがまるであの頃の風景だ。
キャッチコピーは
「この川で暇をつぶすだけのそんな青春があってもええんちゃうか」
大人になった今、一緒に暇をつぶしてくれる友人がいるなら幸せだと思う。
今度、原作の漫画も読んでみよう。
ちょっと散歩の足を延ばして
満開のソメイヨシノを見に行こうと思いたった。
楽しみにしていた展覧会「ルドン―秘密の花園」も開催している(東京都・三菱一号館美術館)。
グリーンボーイズの「キセキ」を聞きながら
桜吹雪のなかを歩くのもいい
私たちは今、春のキラメキの中にいるのだ。
文具店の取材のあと街を歩きながら
パリっとした白いシャツを買おうと決めた。
この春の新しい自分のために。
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おきなわ 暮らし散歩 vol.41
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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。