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喜屋武奈央子

2017年11月1日更新

グローバルに活躍するために ~柔軟に考える|喜屋武奈央子のコラム

喜屋武奈央子のfunokinawaコラム[vol.06]



海外に行くと、自分の常識が全く通じないことが多々あります。沖縄と本土でも常識は違うことがあります。例えば沖縄あるある話としてよく話題にのぼる「うちなータイム」。待たされる相手にしてみたら全く面白くないことだと思いますが、「この人は時間通りに来ない」というのがすでに分かっているのであれば、待っている間にたまっているメールに返信をしたり、読みかけの本を読んだり、ウインドーショッピングをしたりして、自分で時間を有効に使うのが得策でしょう。もちろん、相手が遅れてこない方が一番いいのですが、相手をコントロールしようとするより、自分をコントロールする方がはるかにストレスが少なくてすみますね。

途上国勤務をしている方々との間でよく出てくる「あるある話」は、「そもそも、待ち合わせの相手が来ない」ということです(笑)。近所の畑仕事を突然手伝わないといけなくなったとか、舗装された道路がない地域では、大雨で道路がぬかるんで車が出せないから来られないとか、スコールで雨宿りしている間に次の約束の時間が来ちゃったとか、いろんな理由があって結構面白いのです。最初はそれにいちいち反応していたのですが、現地スタッフは「仕方ないじゃない?引きずって連れて来れるわけでもないし」と涼しい顔をしているのですが、こういうことを何回か経験すると、「そうだよね~。来れないよね~」と思うしかないということを悟ります。

さまざまなバックグラウンドを持つ人々がいる職場では、時間と物事の進め方に関することが争いの種になるケースが多いようです。こちらが急ぎの仕事を頼んだ時に限ってその人がのんびりコーヒータイムしていたり、Aさんに直談判する方が仕事が早く進むのに、チームメイトはCさんに話をしていたりすると、「もう~%*&#$%※!!(←言葉にならない怒り)」となりますよね(笑)。私が米国留学中にインターンシップをしていた会社には、「Your emergency is NOT my emergency.(あなたの急用は私の急用ではありません。)」と書かれたマグカップを持っている人がいて、「すみませ~ん、急ぎでお願いしたいことが。。。」と駆け込むと、無言でそのマグカップを指さされたことがありました。

あなたが「この人って、いったいどうしてこうなの?」と思った時、それはあなたの常識が相手の常識ではないことが判明する瞬間です。職場や家族と意見の食い違いや口論したことを思い浮かべてみてください。その時あなたは、相手をムカつかせたり、いやな思いをさせてやろうという気持ちだったのでしょうか?それとも、「こうした方が絶対にいいと思う」という気持ちだったのでしょうか?きっと、ほとんどの場合が後者だったのではないかと思います。すると、相手も同じ気持ちだったのではないかと想像することはできませんか?もしかすると、あなたの方が正論で、正攻法だったかもしれません。しかし、正論や正攻法で物事がすんなり解決するのであれば、みんながその方法を取るでしょう。正論や正攻法というのは、その時や場所、関わっている人々、状況によって違ってきます。関わっている人たち全員が「私の方法が一番正しい(または現実的だ、効率的だ)」と思っていれば、意見は平行線をたどるばかりで、最後はより権限のある人や力の強い人、味方が多い人、お金がある人などがごり押しや鶴の一声で解決し、何となく不満ばかりが残って物事が終わってしまいがちになるでしょう。

しかし、意見が衝突するのは、決して悪いことではありません。国連職員としてスリランカに赴任していた頃、プロジェクトの進め方で意見が衝突することがありました。それはお互いが、それぞれのバックグラウンドや価値観などに照らし合わせて「これが一番いい」という意見を出し合ったからです。こうすることで、物事をあらゆる角度から見て検証し、より良いプロジェクトの進め方を模索することができました。

私たちは、誰もが自分の世界観に基づいて日々正しいと思う行動をとっていると思います。そして、それぞれの世界観の中では、自分が正しくて周りが間違っているように見えることが多々あります。だからこそ、自分の考えが独りよがりになっていないかを客観的に見ることがとても重要になってきます。自分の考えを正当化する前に、一歩引いて考えてみる。周りに意見を聞いてみる。「この人の世界観では、何が正しいことなんだろうか?」と相手の立場になって考えてみるなど、できることを試してみましょう。

歴史を見ても、過去に正しいとされていたことは、現在では間違った考えになっていることが多くあります。それぞれの「正しい行動」を、どう受け止めて対応するのか。グローバルな環境で生活をしていると、こうしたことを考えさせられる機会がたくさんあります。100歩譲っても、逆さづりにされても、自分が到底受け入れられない主義主張や慣習を目の当たりにすると、頭は混乱するし、怒りや無力感、屈辱感、悲しみなど、ありとあらゆるネガティブな感情が渦巻いて、心は苦しくなります。しかし、それが相手の世界観の中では正しいことなら、理解する努力をし(賛成する必要はありません)、同じ地球で生きる人間同士としてどう対応すればいいのかを常に模索する必要があるでしょう。職場という比較的小さな世界でも、拡大する核の脅威の問題でも、考え方は同じだと私は思います。


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1974年に沖縄本島(現在のうるま市)で生まれる。父の仕事の都合で10歳の時に新潟県に、13歳の時に北海道札幌市に引っ越す。大学3年まで札幌市で過ごし、21歳で米国アイオワ州にあるアイオワ大学に編入し、学士号(経済学)と修士号(第三世界の開発)を取得。卒業後は東京の財団法人や政府機関で働いたのち、国連の専門機関である国際労働機構(スリランカとスイスのジュネーブ)で勤務。帰国後は沖縄に戻り、現在は恩納村にある沖縄科学技術大学院大学(OIST)で勤務。1児の母。

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