本村ひろみ
2017年4月1日更新
「花が咲いた」|本村ひろみのコラム
フリーパーソナリティーの本村ひろみさんが、暮らしを楽しむアンテナを巡らせて日々の沖縄・風景をレポートします。
fun okinawaコラム「おきなわ 暮らし散歩 Vol.29」
春がやってきた。
一年のなかで一番好きな季節。
妖精が世界に魔法をかけ、
全てのものが目覚める瞬間を
私たちは「花が咲いた」とつぶやく。
お花屋さんのショーウインドーにパステルカラーが並んでいる。
花を贈るシーズン
かれんな花の中に“赤いスイートピー”を探す。
1982年
ユーミンが作曲したこの曲は
聖子ちゃんカットの女子学生にとって
淡い未来と春の象徴だった。
「I will follow you 翼の生えたブーツで
I will follow you あなたと同じ青春
走ってゆきたいの
線路の脇のつぼみは赤いスイートピー
(中略)
心に春がきた日は赤いスイートピー♪」
だから
今でも春の赤いスイートピーは特別な花。
アイルランドの詩人ウィリアム・バトラー・イェイツ(1865~1939)。
彼の著作『ケルトの薄明』の中で
「妖精たちの群れ」という章にこんな一文がある。
「来なさい、逃れて来なさい、
この世の夢でいっぱいの心を空にしなさい
風は目覚め、木の葉はあたりをめぐっている」
閉ざされた冬から
輝きに満ちたこの場所に「逃れて来なさい」と
妖精たちは春の窓を開けて待っている。
うれしい便りも
寂しい便りも届いた。
美しい旅のような人生。
年を重ねても新しい気持ちで春を迎える。
つい最近までピンクが主役だった川沿いが
いつの間にか
イペーの黄色い花が満開になっていた。
気づかないうちにソッと。
24色の色鉛筆を使っても足りないくらい
光の加減で明度と彩度を調合して
目に映る風景は春色になる。
「時は燃えるローソクの
滴のように無くなっていく、
山々と森はその日々を持つ、
それぞれの日々を。
あなたがたは、どうぞ、
モミから生まれた森の
昔の軌道から、お願いです
外れていかないように」
(『ケルトの薄明』時は滴り落ちるより)
春を追う。
弥生三月から卯月(うづき)へ
黄色やピンクの花びらを追って
春へと続く道を歩む。
また会えた春を喜びいさんで迎えに行く。
おめでとう、また会えた。
「春」
“March winds and April showers bring for May flowers”
(訳/3月の風と4月の雨が花の5月を連れてくる)
※2017年4月9日よりラジオ沖縄で「We love yuming 2」がスタートします。毎週日曜日19時〜20時オンエア。
皆さんの思い出のユーミンソングをリクエストに送ってください。
アドレスは yuming864@rokinawa.co.jp まで。
お待ちしています。
<ラジオ沖縄>
http://www.rokinawa.co.jp/
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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。