永遠のモダン|おきなわ 暮らし散歩|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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COLUMN

本村ひろみ

2016年9月18日更新

永遠のモダン|おきなわ 暮らし散歩

フリーパーソナリティーの本村ひろみさんが、暮らしを楽しむアンテナを巡らせて日々の沖縄・風景をレポートします。
fun okinawaコラム「おきなわ 暮らし散歩 Vol.23」




突然の風に黄色く色づいた葉が舞い踊る。
つま先で踏んで、立ち止まって、拾って、読みかけの本に挟む。
カサリ。乾いた音。はかない質感。
しおりにするから赤や黄色に色づいた葉を探す。
表面がまだら色の手のひらサイズを見つけた。
記念に日付も記しておこう
“2016.9.15 晴れ”
いつかこのページを開く時
薄くベージュになったこのしおりに書かれている印を見て
今日の事を思い出す。
ロマンチック。秋はいいね。





この頃ではいきなり台風が生まれたり
みるみるうちに墨を流したような灰色の空から
ピンポン球くらいの雨粒が落ちてくる。
「あー、傘持ってない・・」
たたきつける雨音 閃光(せんこう)が走って
湿った皮をたたくような低い音が頭上から降ってくる。
傘もなく、なすすべもなく空を見上げて
ここから何百キロも離れている
遠い海のたけだけしい風雨を想像する。
大海原に浮かぶ小さな島
まるで波に揺れる木の葉の気分だ
「天の配剤も運しだい」なんて思っている目の前を
傘をさした人が小走りに過ぎて行った
準備万端、用意周到、備えあれば憂いなし。
“天気予報を確認すれば良かった”と心の中でつぶやく。





雨宿りで入った国際通り沿いのパーラー
県産フルーツのジェラートが冷えたショーケースに並んでいた。
彩度の高いカラフルなジェラートに心を奪われる
ピンクは今帰仁スイカ
黄色はシーヮーサー
オレンジはマンゴー
日射しと雨のバランスが果樹の甘さを引き出す。

ほっぺたが落ちた
天の為せる技
あまりのおいしさに
今度は感謝の気持ちで空を見上げると
雨はいつの間にかあがって
通りには熱気とざわめきが戻っていた。






9月15日
旧暦の8月15日。「十五夜」
中秋の名月に照らし出された銀色の風景は
水墨画のような静謐(せいひつ)さをたたえている。
夜のしじま
あたりが寝静まり世界が音を消す。
湿った木々から立ち上がる沈香
夜香木の白い花から放たれた甘さ
その香りに酔いしれ見上げると
闇夜に輝く跳ねるうさぎ
「永遠のモダン」
私たちの記憶に刻まれたそのデザインは
悠久の時を経て今もなお眼前に現れる。
お月見の夜に。




 

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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

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