季節のグラデーションが切なさを育てる|本村ひろみさんのコラム|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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COLUMN

本村ひろみ

2024年9月25日更新

季節のグラデーションが切なさを育てる|本村ひろみさんのコラム

フリーパーソナリティーの本村ひろみさんが、暮らしを楽しむアンテナを巡らせて日々の沖縄・風景をレポートします。fun okinawaコラム「おきなわ暮らし散歩 Vol.117」

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1日の終わりに「今日も暑かったねー」ってあいさつしていた今年の夏。
もうこのまま永遠に夏が続くのでは? とまで思っていた先週。なのに、今朝目が覚めたら風が少し違った。足で蹴っていたタオルケットが恋しくなった。
「もしかして秋来てる?」
入道雲からいわし雲へ徐々に変化していく空の様子や、トンボの舞う夕暮れとか風になびくススキの穂とか、季節の変化はあっという間に過ぎていく。
小さな秋を見逃さないようにしなくては。




ユーミンの「晩夏(ひとりの季節)」は夏の終わりに聴きたい名曲だ。
その歌詞は夏の終わりの、季節の変わる空の、切なさを浮かび上がらせる。

「ゆく夏に 名残る暑さは 
夕焼けを吸って燃え立つ葉鶏頭 
秋風の心細さはコスモス

何もかも捨てたい恋があったのに
不安な夢があったのに
いつかしら 時のどこかへ置き去り

空色は水色に 茜は紅に 
やがて来る淋しい季節が恋人なの

丘の上 銀河の降りるグラウンドに
子どもの声は犬の名をくりかえし
ふもとの町へ帰る

藍色は群青に 薄暮は紫に 
ふるさとは深いしじまに輝き出す 
輝き出す」
(1976年 アルバム「14番目の月」収録)



荒井由実時代の曲。
少女の目に映る季節のグラデーションは切なさを育んだ。
ゆっくりと変化する自然と一緒に、感情の揺れも育っていくのだ。
暑さだけではまぶしくて何も見えない。

秋は展覧会のシーズン。
会期はだいたい1週間なので、うっかりしていると終わってしまう。
なので、続々と届く個展の知らせはスケジュールに記して、9月の連休はギャラリーや展示会場巡りを楽しんだ。



おしゃれなブルワリーの空間にインスタレーションを展示した花城勉の作品は打ちっぱなしのコンクリート壁に増殖していく黒い塊。落とす影までが作品。スタイリッシュ。(展示は終了)



齋悠記(さいゆうき)の個展は人気のカフェ・プラウマンズランチベーカリーで開催(9/26木まで)。美しい色彩と窓から望める自然が調和してウットリの空間を作り出していて、そこにいるだけで幸せな気持ちになった。



ギャラリーアトスで開催されている新川彩の2年ぶりの個展「girl」。(9/29 日まで開催)
彼女の独特の世界観はさらに進化し、キッチュなオブジェからは並々ならぬ手仕事のパワーが、そして絵画の女の子からも目が離せませんでした。今後の進化も楽しみなアーティストのひとり。

帰宅したら、窓辺で猫が黄昏ていた。
実家からわが家にやってきた猫。
振り向いたその表情に
ちょっぴり“切ない”気持ちになった。

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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

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